2013 Fiscal Year Annual Research Report
種々の環状高分子のトポロジー効果と分子鎖の拡がりの相関
Project/Area Number |
22740281
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 次郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 研究機関講師 (40415047)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 環状高分子 / シミュレーション / 拡がり / θ状態 / トポロジー |
Research Abstract |
本研究は分子末端を持たず、最も単純で美しい形の高分子である環状高分子の物性について知見を得ることを目的とする。高分子科学では、鎖の形がランダムウォークで表現される場合をθ温度と定義されるが、この場合は鎖のすり抜けを許容しリングポリマーのトポロジーを固定できない。本課題は、トポロジーを固定 かつ θ温度(第二ビリアル係数がゼロ)という状態を考えることで、トポロジー問題(数学)と高分子の基礎物性の問題を融合的に議論するものである。 前年度までに、最も単純なtrivial-ringをより詳細に議論するとともに、3_1, 5_1-knotted-ringのθ温度についても考察を行い、高分子科学において重要な物理量である「θ温度」が通常のlinearポリマーと異なった視点を持つべきであると結論した。2013年度は、θ温度において、種々のトポロジーを持つリングポリマーの鎖の形を統計的に処理することによって、リングポリマーの鎖の部分がどのような振る舞いをしているかを議論した。その結果、リングポリマーのうち最も単純なtrivial-ringのみがlinearポリマーと同じランダムウォークで形が表現されることがわかり、それ以外のトポロジーを持つリングポリマーはどの温度においてもランダムウォークで表現し得ないことを報告した。この成果はソフトマター分野だけでなく基礎物理/統計力学として重要な概念であるランダムウォークに関して重要な指針を与えた。 一方でシミュレーションアルゴリズムの研究開発も行っている。それは、FCC格子上で計算する方法である。Trans Locationのアルゴリズムの組み込みを行うことでよりフレキシブルな鎖の記述ができるようになり、上記の研究成果を得た。以上のように、本研究課題は計画に沿って順調に遂行され、論文発表も行われた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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