2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂の過程で形成される膜融合状態におけるナノ相分離構造
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22740282
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山田 悟史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (90425603)
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Keywords | 生物物理 / リン脂質 / 自己組織化 / 量子ビーム |
Research Abstract |
細胞の外殻である細胞膜はリン脂質の二分子膜(脂質二重膜)で形成されている。この脂質二重膜構造は細胞分裂の際、一時的に二分子膜の片面のみが融合したstalkと呼ばれる構造を形成することが知られているが、詳細な構造を観測した例は少なく、その形成メカニズムは未だに明らかになっていない。本研究は、人工的に作成したstalkの構造を斜入射中性子小角散乱法(GI-SANS)と呼ばれる新規の実験手法を用いて観測することを目的とする。この手法ではリン脂質を重水素化することにより分子のラベリングが可能なため、stalkにおけるリン脂質の分布をnmスケールで観測することが可能である。実験に際しては、stalkのモデルとしてシリコン基板上に積層させた脂質二重膜を利用する。脂質二重膜の間には水の層が存在しており、その厚みは外部の湿度に応じて変化することが知られている。stalk構造は膜間に存在する水の量が少ない場合にのみ形成されるため、外部の湿度を制御する機構が本研究を進める上で一つの重要な開発要素となる。 昨年度、外部から水蒸気を供給することで湿度制御可能なGI-SANS用のセルを開発したが、開発段階ということで湿度制御の精度に問題があった。また、GI-SANSは放射線である中性子線を用いた実験であるため、放射線遮蔽体の外から湿度制御できることが望ましいが、それを行う機構が整備できていなかった。そこで本年度はリモートで水蒸気の供給をON/OFFできる電磁バルブを設けると共に、高湿度条件における配管の結露を防ぐためのカバーを設けた。これにより、相対湿度95%まで湿度の調整が可能となり、GI-SANS実験を行うための準備が整った。ただし、震災の影響でGI-SANSを行える国内唯一の実験施設であるJ-PARCが1月まで停止していたため、残念ながら実際に実験を行えていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調湿セルの開発が多少遅れたことに加え、GI-SANSを行える国内唯一の実験施設であるJ-PARCが1月まで停止していたため、実験を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度、GI-SANS実験が実施できる見込みは立っているので、これを推進する。また、類似の実験である斜入射X線小角散乱法(GI-SAXS)による実験も同時に行っていく。この手法はGI-SANSのようにリン脂質の組成分布は観測できないものの、強力な放射光源を用いるため実験条件の精査に欠かすことができない。また、これら2つの実験結果を同時に照らし合わせることで情報が劇的に増えるため、これらの相補利用を行っていく計画である。
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[Journal Article] Design and Performance of Horizontal Type Neutron Reflectometer SOFIA at J-PARC/MLF2011
Author(s)
N.L.Yamada, N.Torikai, K.Mitamura, H.Sagehashi, S.Sato, H.Seto, T.Sugita, S.Goko, M.Furusaka, T.Oda, M.Hino, T.Fujiwara, H.Takahashi, A.Takahara
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Journal Title
Euro.Phys.J.Plus
Volume: 126
Pages: 108(13)
DOI
Peer Reviewed
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