2010 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体中のコロイド結晶に現れる超長距離斥力相互作用
Project/Area Number |
22740284
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小山 岳人 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (50533858)
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Keywords | 超臨界流体 / コロイド分散系 / 密度揺らぎ / コロイド結晶 / 粒子間相互作用 |
Research Abstract |
物質間の相互作用は、あらゆる(相)転移現象を支配する起源であり、これを理解することは物理学の中心的課題の一つである。近年、超臨界流体中のコロイド2次元結晶において、臨界点近傍でコロイド粒子間に未知の超長距離斥力相互作用が働くことが見いだされた。既存の理論では説明できないこの現象の発現機構を理解すること、特に超臨界状態における分散媒の密度揺らぎによる効果を明確にする事がこの研究の目的である。平成22年度はエタノール超臨界状態における、シリカ粒子結晶の格子間隔の温度・圧力に対する挙動を理解し、超臨界エタノールの密度揺らぎとの関連性を明確にする実験を行った。これにより、シリカ粒子結晶の格子間隔が最も拡大する条件が、エタノールの密度揺らぎが極大となるいわゆる"密度揺らぎの尾根線"近傍に存在することが明確となった。このことは、結晶格子間隔の拡大を引き起こすシリカ粒子間の斥力が密度揺らぎと密接に関わっていることを強く示唆するものである。この結果は今後の研究において、特に分散媒の超臨界状態における密度揺らぎと現象との関係を明確にしていくことを通じた、臨界点近傍での未知の斥力相互作用の起源特定に向け、重要な情報をもたらすものである。この研究を通じ、コロイド分散系の粒子間相互作用を新しい観点から理解するという点である。これらの点を明確にする事により、粒子間相互作用に含まれるもう一つの本質的側面である分散媒の物性や密度揺らぎにより誘起される効果を明示でき、コロイド科学の基礎的知識の拡大に貢献できる。
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