2011 Fiscal Year Annual Research Report
GPSのデータ同化手法の開発とプレート境界の摩擦特性の推定
Project/Area Number |
22740290
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 淳一 東京大学, 地震研究所, 教授 (70569714)
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Keywords | 固体地球物理学 / 測地 / 地殻変動 / 地震 / データ同化 / 逆問題 |
Research Abstract |
地震後の余効変動を記録した測地観測データからプレート境界面上の摩擦パラメータを推定するという最終目的のために,平成23年度は(1)余効すべりの時空間変化の推定,(2)データ同化手法の開発(3)余効すべりの数値モデルの高度化を引き続き行った.(1)については,2011年に発生した東北地方太平洋沖地震後の余効変動を対象とした.GPS連続観測点のデータを解析し,1日毎の余効変動をモニタリングするシステムを構築した.このようにして得られた余効変動データに粒子フィルタのアルゴリズムを適用し,余効すべりの時空間変化を1日毎に推定した.粒子フィルタを用いることで,すべり速度の時間変化を従来の手法に比べて高い解像度で推定することができた.余効すべりの空間パターンの顕著な時間変化は見られなかったことから,余効すべりの伝播は本震直後の数日以内に起きたと考えられる.平成22年度の研究から,本震直後の余効すべりの伝播が摩擦パラメータの値に依存することが示されていることから,今回得られた結果は重要である. (2)については,平成22年度に開発した粒子フィルタの計算コードを(1)で使用した手法に適用し,余効すべりの時空間変化の高解像度推定に最適な時間・空間平滑化の方法,すべり分布の基底関数の定式化,計算コストの軽減方法等の解析条件を検討した.ここで得られた知見を(1)の解析に利用した.(3)については,平成22年度の研究では1自由度バネ・スライダーモデル及び1次元断層モデルのみしかコード作成が終了していなかったため,速度・状態依存摩擦法則に基づく3次元数値モデルのコード開発を行った.このコード開発については,スタンフォード大学のPaul Segall教授のグループの協力により,階層行列法を用いて高速なコードを開発することに成功した.データ同化ではパラメータ推定のために多数回のシミュレーションが必要となるため,数値モデルの高速化は重要である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」のうち東北地方太平洋沖地震の余効すべりの時空間変化の推定に考えていた以上の時間を要してしまい,アンサンブルカルマンフィルタのコード開発と2004年Parkfield地震の余効すべりの時空間変化の推定を進めることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,アンサンブルカルマンフィルタのコード開発と既に開発した3次元数値モデルを用いたデータ同化に重点を置く,また,平成23年度に行った東北地方太平洋沖地震の余効すべりの時空間変化の推定を論文にまとめる. 当初,開発した手法を2004年Parkfield地震の余効変動に適用することを計画していたが,2011年に発生した東北地方太平洋沖地震の余効変動の方がより良いデータが得られているため,手法の適用対象を東北地方太平洋沖地震の余効変動に変更する.
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Research Products
(5 results)