2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玄田 英典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (90456260)
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Keywords | ハイパフォーマンス・コンピューティング / 理論天文学 / 固体地球物理学 |
Research Abstract |
GPU(Graphics Processing Unit)を用いて、惑星科学の分野において極めて重要なプロセスである天体衝突現象を、これまでにない高解像度でシミュレーションを可能にするコードを開発することが本研究の第一の目的である。そして、このコードを用いて、解像度の点で決着のついていない月形成問題の解決を図り、本コードの有用性を示すことが第2の目的である。 本年度は、第1の目的を果たすために、研究代表者がこれまでに開発してきたCPUベースの天体衝突コードを、CUDAと呼ばれる汎用性の高いプログラミング言語を用いてGPUベースのコードに改良した。また、これまでは相互重力専用計算機であるGRAPEを想定してコードを開発してきたため、重力相互作用は、全粒子間の重力を計算するという膨大な計算を行っていた。今後、極めて大きな粒子数を扱う際にボトルネックになると考えられるので、相互重力の計算を近似的に求めるツリー法(Barnes & Hut 1986)を用いるなどの工夫を行った。さらに、理想気体の状態方程式のみ取り扱いができたGodunov SPH法(Inutsuka 2002)を、非理想気体の状態方程式(水、岩石、鉄など)にも使えるように拡張した。これは、実際の物質を扱う惑星科学の諸問題にとって極めて重要である。また、強い衝撃波を計算しても、タイムステップが細かくならないというGodunov SPH法の利点をそのまま生かし、さらに高速化を試みた。最終的には、最新のGPUであるTeslaボードを用いて、通常のコンピュータの30倍以上の演算性能を出せるようになった。
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