2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度ダイナモシミュレーションスキームの開発:超低粘性ダイナモの実現
Project/Area Number |
22740292
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 太 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20467012)
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Keywords | ダイナモ / 地磁気 / 外核 / 粘性 / シミュレーション / 結合コンパクト差分法 |
Research Abstract |
低粘性強磁場ダイナモの詳細解析:コアの磁気エネルギー密度/運動エネルギー密度比は1000程度と非常に大きいが、これまでそのようなエネルギー密度比を低い粘性パラメータで実現した研究はなかった。今回、エクマン数を4_x10^<-6>という比較的低いパラメータ領域において、平均エネルギー密度比50を超す解を発見した。このような低エクマン数領域で大きなエネルギー比を持つダイナモ解は例が無く、本研究によって初めて見出されたものである。高エネルギー比は地球コアの力学的条件に似ており、地球のダイナモの力学的特徴を再現している可能性があるので、この解の詳細な解析を行った。 対流構造については回転系特有の、経度方向の波数が大きい流れ構造に加えて、磁場の影響を強く受けた、波数の小さい大規模流れ構造が発達する様子が示された。磁場構造については三次元での可視化技術を利用して、四種類の特徴的な磁場構造を同定することに成功した。更に、磁場の生成過程を詳細に分析するための手法を新たに開発し、各磁場構造の磁場生成過程を調べた。その結果、強磁場が生成される領域では流れに磁場の方向に沿った勾配が存在し、その効果によって磁力線の効率的な引き延ばしが起きることで磁気エネルギーの増加が起きていることが分かった。 更に磁気エネルギー、運動エネルギーのバランスを調べてエネルギーの輸送過程を調査した。その結果、流れ場は運動エネルギーの変化に対するローレンツ力の寄与が有意な磁気地衡流状態にあることが分かった。 以上の結果から地球のコアのような低粘性、強磁場状態にあるダイナモ作用に特徴的な流れ場、磁場の構造、生成過程及びダイナミクスに関する新たな知見が得ることができた。
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