2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740296
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 耕 神戸大学, 理学研究科, グローバルCOE研究員 (60424793)
|
Keywords | 惑星移動 / 重力相互作用 / 密度波 / 粘性 / 輻射輸送 / 光学的に厚い |
Research Abstract |
光学的に厚い円盤内で生まれた原始惑星が、円盤内でどのような動きをするのかについて本研究で調べた。具体的には、昨年度開発した計算コードに輻射輸送と粘性の効果を組み込んで、ダストによる熱輻射効率とガス円盤の粘性に対する惑星軌道進化の応答について調べた。光学的に厚い円盤では、opacityの温度依存性によって内部の温度構造が変わる。岩石ダストのみが存在する領域(この領域をregion1と言う)では温度分布のベキが大きく、岩石や氷から成る領域(region2と言う)では温度分布のベキが小さくなる。一方で、惑星移動の研究から、熱散逸のない円盤では温度のベキが大きいと惑星の移動方向が外になることが指摘されており、Hasegawa & Pudritz(2011)は光学的に厚い円盤内の温度分布の違いと温度構造と惑星移動方向との依存性を考慮して、光学的に厚い円盤ではice lineを境にして惑星の移動方向が逆になる、つまり、ice lineに惑星が集まる運動となることを提案した。しかし、この研究は熱散逸のない円盤を仮定している。実際の円盤では輻射や粘性といった散逸過程がある。そのため、散逸過程がある中でも常に惑星の移動方向がice lineを境に逆転するかどうかはわからない。そこで本研究では、円盤の持つ輻射や粘性と惑星移動の関係性を平成22年度で開発した流体計算を使い、導出した。その結果、region 2では常に惑星移動の方向は内側を向き、region 1では5倍の地球質量の惑星が外に移動するためには降着率が2.1×10^<-8>太陽質量/年(面密度=100g/cm^2@1AUを持つ円盤において)よりも小さくならなければいけないことがわかった。数値計算からの半経験式から、この降着率の条件は惑星質量にほぼ比例して、惑星質量が小さければ降着率が小さい、つまり粘性が弱くなければないないことを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流体計算コードに粘性および輻射の効果を組み入れて、過去の研究結果をちゃんと再現できる信頼できるものを本年度に完成させることに成功した。一方で、GPGPUを組み込んだコード開発は遅れているが、最近のPCパワーの発展によりその遅れた分をある程度穴埋めできている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では3次元円盤と原始惑星との重力相互作用の解明を目指していた。しかし、いくつかの3次元を扱った研究結果を見ると、3次元構造がこの重力相互作用に与える影響は小さい可能性が出てきた。そのため、本研究では、2次元円盤との重力相互作用をきっちり理解することに重点を変え、2次元円盤での重力相互作用のふるまいを系統的にまとめた。今後は、惑星移動が惑星の軌道進化および惑星質量の時間変化にどのような影響を与えるのかを調べる予定である。
|