2011 Fiscal Year Annual Research Report
同位体置換水素ハイドレートの分子間相互作用の解明と惑星・原子星の進化の推定
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22740298
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
町田 真一 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, グローバルCOE助教 (30554373)
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Keywords | 水素ハイドレート / 同位体効果 / 分子間相互作用 / 惑星・原始星 / 高圧実験 / ダイヤモンドアンビルセル / 中性子回折実験 |
Research Abstract |
水素ハイドレートは、水分子と水素分子から成る固体結晶である。本研究は、この水素ハイドレートの高圧構造や安定性を解明し、水素ハイドレートを構成成分とする惑星・衛星や原始星の、形成や進化のモデリングに寄与する知見を得ようとするものである。水素ハイドレートの構造変化やその安定性などの物性を解明するためには、構造内に複雑に存在する分子間の相互作用を分離し、定量化することが重要である。そこでその一つの方法として、質量依存で存在する要素を浮きぼりにするため、同位体置換の水素ハイドレートの高圧実験を行い、その構造変化や振動状態変化を調べた。 当該年度の前半は、主に重水素-軽水(D2-H2o)系の、同位体置換水素ハイドレートの高圧実験をダイヤモンドアンビルセルを用いて行った。その結果、水素ハイドレートの高圧構造であるfilledice Ic構造内で、ゲスト水素分子のD原子と、ホスト水分子のH原子とが交換することが明らかとなった。この発見は、ハイドレートの水素原子が交換という手法によって移動するということを示し、ハイドレート中のゲスト分子の拡散について新たな知見を提供した。また、同位体置換水素ハイドレートがおよそ65万気圧付近でアモルファス化するという現象をとらえた。これは、水素ハイドレートの結晶構造としての高圧安定限界を示す、初めての報告である。 当該年度の後半は、ハイドレートのより詳細な構造情報を得ることを目的とし、中性子回折実験に取り組み始めた。アメリカのOak Ridge National Laboratoryにおいて、ハイドレート物質の中性子実験を行い、その回折線を得ることに成功した。
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Research Products
(5 results)