2011 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質小惑星を模擬した標的における衝突破片速度の測定
Project/Area Number |
22740300
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
道上 達広 福島工業高等専門学校, 一般教科・物理科, 准教授 (60369931)
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Keywords | 惑星起源、進化 / 惑星探査 / 宇宙科学 / 岩石・鉱物・鉱床学 |
Research Abstract |
小惑星探査機はやぶさの観測データから、小惑星イトカワのような500mサイズの小さな天体表面にも多くの衝突破片(岩塊)によって覆われていることが明らかになった。しかしながら、低重力の小惑星が、なぜ多くの破片を捕獲、保持できたのか分かっていない。そこで本研究では、観測された小惑星の空隙率が高いことに注目し、小惑星を模擬した多孔質物質に対する衝突破壊実験を行うことで、飛び出す破片のサイズ、速度の空隙率依存性を詳細に調べることを目的とした。実験はJAXA宇宙科学研究所が所有する2段式軽ガス銃を用いて行った。標的には豊浦標準砂を少量のセメントと水で固めた大きさ数cm-数10cm程度の人工物体(圧縮強度3MPa)や、焼結温度を変えることで空隙率を変えることのできるガラスビーズ焼結体を用いた。弾丸には直径7mmのナイロン球を用いて、衝突速度2-6km/sで衝突実験を行った。高速度カメラは標的の側面と上面に設置し共に1秒当たり数千コマの割合で2方向から撮影を行った。また、破片の回収を行い、破片の質量、形状も測定した。 得られた結果は、空隙率の大きなものほど、飛び出す破片の速度が小さいことが明らかになり、小惑星イトカワの脱出速度以下の遅い破片も観測できた。今後、より定量的な解析を続けて行う予定である。当該年度は、破片の形状について特に詳しく調べた。小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったサンプル粒子の初期成果研究において、サンプル粒子の形状とそれを裏付ける実験的研究が急務だったからである。本実験で調べたところ、小惑星イトカワのように、強度の弱い多孔質物質でも普遍的な破片形状分布が成り立っていることが分かった。この実験結果の考察は、大阪大学の土山明先生と共著で、米国雑誌サイエンスに論文が掲載された.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Three dimensional Structure of HayabusaSamples : Origin and Evolution of Itokawa Regolith2011
Author(s)
A.Tsuchiyama, M.Uesugi, T.Matsushima, T.Michikami, T.Kadono, T.Nakamura, K.Uesugi, T.Nakano, S.A.Sandford, R.Noguchi, T.Matsumoto, J.Matsuno, T.Nagano, Y.Imai, A.Takeuchi, Y.Suzuki, T.Ogami, J.Katagiri, M.Ebihara, T.R.Ireland, F.Kitajima, K.Nagao, H.Naraoka, T.Noguchi, R.Okazaki, H.Yurimoto, M.E.Zolensky, T.Mukai, M.Abe, T.Yada, A.Fujimura, M.Yoshikawa, J.Kawaguchi
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Journal Title
Science
Volume: 333
Pages: 1125-1128
DOI
Peer Reviewed
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