2011 Fiscal Year Annual Research Report
自転速度の非定常性及び境界上の拡散率の非一様性を取入れた地球ダイナモモデルの構築
Project/Area Number |
22740301
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
宮腰 剛広 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (60435807)
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Keywords | 地磁気 / 地球ダイナモ / 地球回転変動 |
Research Abstract |
地球には自転速度の変動があり、地磁気に影響を与えている可能性がある。ミランコビッチ周期で日射量が変化すると氷期・間氷期が生じ水の移動が起こるため、マントルの慣性モーメントが変化し自転速度が変動し得る。これは数万年以上の周期の変動であり、この時間スケールでは地磁気に数十%の変動が見られる。また数十年程度の周期で地磁気と自転速度変動に相関がある事も知られており、地磁気変動は1%程度である。 しかしこれまでに自転速度変動を考慮したダイナモモデルは無かった。そのため本研究ではこれを考慮した世界初の地球ダイナモシミュレーションを行う事を目標とし、本年度は昨年度に構築したダイナモモデルを用いて大規模計算を行った。(境界上の熱拡散率等の非一様性についても取入れる予定だったが上記モデルの計算が予想以上に大規模かつ結果が複雑なものになり研究に時間を要したため取入れられず、今後の課題である。)自転速度の変動周期として磁場散逸時間(地球では約2万年であり、それはミランコビッチ周期の1つにも相当する)、変動振幅として2%を考慮した場合、外核内の磁気エネルギーと対流運動エネルギー、磁場ダイポール成分に変動が見られた。磁場の変動は約3%で、自転速度変動の振幅よりずっと大きい。また自転速度変動と磁場変動の位相は同じではなく、π/2ずれる事が分かった。自転速度変動の時間微分(自転速度変動がある場合これに比例する項が運動方程式内に現れる)とは位相差がπになる。これらは氷床消長と地磁気変動の関係を捉える上で手掛かりになる可能性がある。また変動周期を1/100(200年)とした場合も磁場ダイポール成分に変動が見られたが振幅は約1%であり、長周期の場合よりかなり小さかった。このようにシミュレーションから得られた長周期と短周期それぞれの磁場変動振幅の大きさは観測されているものと傾向が合う事が分かった。
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