2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740307
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福原 哲哉 北海道大学, 大学院・理学研究院, 研究員 (70435808)
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Keywords | 赤外分光 / 火星 |
Research Abstract |
国内では火星探査計画「MELOS」の検討が進み、周回軌道から水蒸気、ダスト、大気(二酸化炭素)の二次元同時観測が提案されている。しかし二酸化炭素の15μm吸収帯を二次元で分光観測する観測装置の実用化には目処が立っていない。本研究では、冷凍機が不要で小型軽量化が実現できる「非冷却ボロメータカメラ」に、透過型ゲルマニウムレンズよりも高い光量を得られる反射光学系を適用した「宇宙用赤外二次元分光器」の実現に向けた基礎開発を行った。 反射光学系には鏡の枚数を最小限にして最大の光量を得るために表面を凹面加工した回折格子を採用し、ボロメータ検出器(平面)に焦点を結ばせる(フラットフィールドタイプ)こととした。一般に、回折格子の溝を掘る加工手法は、(1)ルーリングエンジンと呼ばれる加工機で直接溝を掘るルールド方式、(2)鏡面に印紙を貼って感光させるホログラフィック方式(フォトレジスト法)が挙げられる。前者は平面に直線的な溝を掘る事に優れているが、検出器表面(平面)に焦点を結ぶために凹面鏡に曲線の溝を掘ることができないこと、後者も曲面に印紙を密着させて感光させることが困難であることがわかった。更に、回折格子は主に可視~近赤外領域の製品が普及している一方、15μm帯では用途が限られて民生品の種類が限られているため、これらのうちいずれかの手法を改善して凹面の回折格子を製作していくとコストが大幅に増大してしまい、現実的ではなくなってしまうことがわかった。そこで汎用のナノ切削加工機を用いて安価に製作できる方策を検討したところ、(株)樹研工業が所有する加工機「AHN15-3D(5軸仕様)」を用いれば、試作品として焦点距離100mm、F1.4を実現できる見込みを得たので、面精度0.5μm以下を目標に回折格子を製作した。
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