2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740307
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福原 哲哉 北海道大学, 大学院・理学研究院, 特任助教 (70435808)
|
Keywords | 赤外分光 / 火星 |
Research Abstract |
本研究では、冷凍機が不要で小型軽量化が実現できる「非冷却ボロメータカメラ」に、透過型ゲルマニウムレンズよりも高い光量を得られる反射光学系を適用した「宇宙用赤外二次元分光器」の実現に向けた基礎開発を行った。 前年度に設計・製作したフラットフィールドタイプの反射型凹面回折格子(焦点距離100m、F1.4)の面精度を測定したところ、0.59μmであり、目標である0.5μm以下を達成できなかった。原因を調査すると以下の2点が判明した。(1)今回設計した凹面はX軸とY軸の曲率が異なるトロイダル面であり、溝を掘るにはバイト(刃)を平行移動させる必要があった。かつ、焦点距離100mを確保しつつ、より径が大きい鏡を実現するには、凹面の端部と刃先が干渉しないよう(逃げ角を確保するため)刃先を鋭利(従来は70-80°であるものを35°以下)にする必要があった。このバイトを特注したものの刃先角度が小さいために刃先稜線の剛性が落ちて刃先が欠けてしまい、その結果堀った溝に傷線が入って面精度が落ちてしまった。(2)バイトを平行移動させると曲率の異なる凹面の中心から端にかけての主分力と背分力が変化し、面精度を悪化させてしまった。(2)を改善するには加工機そのものと治具を改修する必要があるために費用が大掛かりとなってしまうが、(1)の刃先の改善が実現すれば面精度の向上が見込まれる。そこで刃先の剛性を保ちつつ(刃先を鋭角にせず)逃げ角を確保するため、スクイ面をネガティブにした形状の刃先を考案して設計を行った。これを製作して溝加工を行えば、面精度0.5μm以下の回折格子の製作が見込まれる。これにより汎用のナノ切削加工機による安価な回折格子の実現に見通しをつける事ができた。
|