2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740314
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉川 裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40346854)
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Keywords | 吹送流 / 熱フラックスの日周変動 / 風成乱流混合 |
Research Abstract |
吹送流の鉛直構造やその季節変動は、熱フラックスの日周変動の季節変化に大きく依存することが、ラージエディシミュレーション(LES)で明らかになった。この依存関係の力学機構を明確にするため、日周変動する熱フラックスのもとでの吹送流を表現する単純化(近似)解析解を、鉛直一次元の運動方程式および水温の拡散方程式から導出した。得られた解は、緯度、風速、加熱冷却比、加熱時間のみに依存するが、これらをパラメターとしてLESの結果と比較したところ、定性的な特徴を良く再現することが確認できた。また、熱フラックスの日周変動の影響は冬季高緯度地域で大きいことが示唆された。さらに解を詳細に調べたところ、単純化解析解はエクマン螺旋解と慣性振動解の和で表現されるが、日平均流速はエクマン螺旋解が、日平均流向はエクマン螺旋解と慣性振動解が重要であることがわかった。 次に、過去に行われた観測(LOTUS観測)を想定したLES数値実験を行い、日周変動する熱フラックスに関する先行研究(Price et al.1986など)の検証を行った。その結果、吹送流速は風速に依存するなど、先行研究と相容れない結果を得た。その原因として、先行研究における安定成層時の風成乱流混合のパラメタリゼーショシが不適切であったことが考えられ、乱流混合過程の正確なパラメタリゼーションの重要性を確認する結果となった。 最後に、風成混合過程を精度良く再現するパラメタリゼーションスキームを構築するため、大気境界層の研究で用いられたNakanishi and Niino(2006)やKitamura(2010)の乱流混合パラメタリゼーションスキームを、海洋モデルに実装した。代表的なパラメターのもと実験を行った結果、概ね良い再現性を有することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の一つである「単純化解析模型の構築」は十二分に達成された。その他に関しても概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定に沿って行う。
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