2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本海沿岸域における底部冷水層の変動特性と海洋環境への影響に関する研究
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22740315
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
兼田 淳史 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 講師 (70304649)
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Keywords | 海洋物理・陸水学 / 海洋科学 / 自然現象観測・予測 / モニタリング |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本海の陸棚斜面上に存在する冷水層に着目し、その形成時期や出現条件などの基本特性や、岸近くの海洋環境へ与える影響について解明することである。陸棚域から沿岸域にかけての海洋環境や物質循環への理解、および漁場環境の理解へとつながる重要な研究と位置づけている。本研究は若狭湾及び日本海南部の陸棚斜面域から沿岸域までを研究対象海域とし、既存の海洋データを収集するとともに、若狭湾における係留観測や、研究航海に乗船して秋田沖から博多湾にかけての広域調査、収集したデータの解析などを実施することで、上記に述べた冷水層に関わる現象の解明を行う。 今年度は、昨年度に行った水温・塩分データの収集・解析に続き、流向・流速のデータを収集・解析するとともに、昨年に引き続いて若狭湾では係留観測を実施した。係留観測は、若狭湾内に存在する複数の半島の先端付近で4月頃から12月頃まで実施し、それぞれの観測地点で多層の水温や流れのデータを収集した。さらに、秋田から博多までの広範囲を対象とした研究航海に参加し、これらの海域の陸棚域における水温・塩分の構造、陸棚域から沿岸域にかけての海洋構造と微生物分布の関連性について調べた。新たに取り組んだ流向・流速データの解析では、若狭湾を中心とする沿岸域の平均的な流況や季節的変化、冷水層付近と流れの特徴について明らかにした。また収集したデータを利用して、海洋構造の変化を定量的に議論するためのモデルの作成を進めている。さらに、研究航海で取得したデータの解析を行った結果、底部冷水の上層は植物プランクトンや微生物が存在する傾向があるなどの特徴を見いだし、海洋構造の変化が低次生態系に影響を与えている可能性をみいだした。これらの解析から得た知見は、学会や研究者および漁業者などが集まる会議において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、底部の冷水層が形成される海域の海洋データとして、流向・流速データを新たに収集、解析することができた。陸棚斜面上に着目した解析を進め、平均的な流れや季節変化を理解することができたこと、そして研究航海に乗船して広範囲のデータを収集し、冷水層付近の流動の特徴について知見を得たことは大きな進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、底部の冷水層が形成される海域で現地観測を進めてデータの蓄積を進める。いままでに収集したデータの解析を進め、冷水層の定性的な特徴を明らかにするとともに、数値モデルを構築して冷水層の存在に伴う海洋環境の特徴や変化について定量的な評価を行う方針である。解析結果は学会で発表するとともに、論文にとりまとめる作業を推進する。
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Research Products
(3 results)