2010 Fiscal Year Annual Research Report
北極海の急激な海氷減少に影響を及ぼす北極圏の大気大循環の役割に関する研究
Project/Area Number |
22740317
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小木 雅世 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (50392957)
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Keywords | 気候変動 / 北極海 / 海氷 / 大気循環 |
Research Abstract |
近年、北極海の海氷は急激に減少している。特に夏季の北極海の海氷減少がとても大きい。この海氷の減少は、IPCCで使用された地球温暖化を検証する気候予測モデルでは予測ができず、気候予測モデル結果よりも急速に海氷は減少している。つまり、地球温暖化という理由だけで、北極海の海氷が減少しているという説明は不可能であり、きちんとしたメカニズムの解明には至っていない。そこで、本研究では、北極海の夏季の海氷減少のメカニズムを解明するために、北極圏の大気循環に注目した研究を行った。具体的には、地表面の風がどのように海氷減少に影響を及ぼすのかを、大気観測データと衛星による海氷データを用いて解析を行った。その結果、夏季の海氷の減少には、冬季の北極海から北大西洋に流れる風の影響と、夏季の北極海を覆う高気圧性循環とそれに伴う北大西洋に向かう風が影響を及ぼすことがわかった。つまり、冬季と夏季の風が、北極海から北大西洋に海氷を移流する働きにより海氷を減少させているという重要な結果を得ることができた。さらに、近年、夏季の高気圧性循環が強まっていることが、より海氷の激減に大きくかかわっていることも示唆した。過去の研究では、北極振動などの大気の卓越するパターンによる影響や、冬か夏かどちらかの大気循環と北極の海氷減少の関係について議論された研究のため、本研究で冬と夏の両方の地表面の風が北極海の海氷減少に重要な役割を果たしているという結果は、これまでの研究には存在しない意義のある研究結果である。
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Research Products
(5 results)