2011 Fiscal Year Annual Research Report
領域スケールにおける強雨頻度の気候変化の統計的推定
Project/Area Number |
22740318
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若月 泰孝 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70455492)
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Keywords | 気候変動 / 領域気候 / 統計手法 / 降水 |
Research Abstract |
本研究は、短時間降水量の確率分布関数を開発し、観測データによる短時間降水量の分布関数の母数と、客観解析データとの間で統計的関係式を構築する。また、その関係式を客観解析のかわりに全球気候モデル(GCM)に適応することで、将来の降水分布を詳細な水平解像度で推定することを目的としていた。本計画の元となった確率分布関数のアイデアでは、弱い強度域で支配的な層状性降雨は指数分布、強い強度域で支配的な対流性降雨はWeibull分布となるという特性を仮定した。このアイデアから、弱雨から強雨に対して指数分布からWeibull分布に連続的に変化する新しい確率分布関数を平成22年度に開発した(Wakazuki,2011)。次に、気象庁アメダスデータを観測とし、気象庁客観解析データ(JRA長25)との間で統計的関係式を構築した。その際、平成22年度は、すべての観測点とその点の客観解析値との間で重回帰分析を行う広域回帰と、観測点とその周りの客観解析値との間で重回帰分析を行う狭域回帰の2つを併用した。平成23年度は、平成22年度手法に問題があったため変更した。分布関数の母数を推定するという点は同じであるが、説明変数である客観解析データの情報を主成分分析して、固有ベクトルに対する係数を説明変数とする方法に変えた。説明変数の非独立性は結果に大きく影響を与えていたためである。これで説明変数の中の変動成分の影響で、分布関数の母数がどのように変化するかは説明可能である。しかし、平均量の気候変化が分布関数の母数の気候変化に与える影響については説明できない。そこで、平均量の変化を成層の変化と解釈して、成層の情報について、地点をサンプルとした主成分分析を行い。固有ベクトルに対する係数を説明変数、推定された母数の残差を目的変数として、重回帰分析した。母数の種類によるが、大まかに分布関数の母数が推定できることがわかった。本手法は、「第2回極端気象現象とその影響評価に関する研究集会」で発表した。ただし、手法変更に伴いGCMへの適応研究を進めることはできなかった。
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Research Products
(1 results)