2010 Fiscal Year Annual Research Report
地上・衛星の多点観測データを用いた深内部磁気圏擾乱の発達・減衰に関する総合解析
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22740322
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
能勢 正仁 京都大学, 理学研究科, 助教 (90333559)
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Keywords | 磁場双極子化 / リングカレント / 磁気嵐 / 酸素イオントーラス / 内部磁気圏 / イオン組成 / サブストーム / 非断熱的加速 |
Research Abstract |
今年度は主に、内部磁気圏を飛翔するMDS-1衛星の磁場データと極軌道のIMAGE衛星で取得された高速中性粒子イメージングデータを用いて、サブストーム時の磁場変動とそれに伴う粒子加速・リングカレントの発達について解析を行った。地球半径の3.0倍から6.5倍まで離れた領域について、2002年の約半年間のデータを調べたところ、次のような結果が得られた。(1)サブストームに伴って、磁場双極子化現象が深内部磁気圏においても観測される、(2)この観測確率は、衛星の場所に応じて20-50%程度の範囲になる、(3)この双極子化現象の後、磁気嵐が発達しており、特に酸素イオンのフラックスが大幅に増大していることが推定される、(4)磁場双極子化現象と共に、時間スケールが3-5秒の短周期の磁場擾乱が現れる。過去の研究では、「深内部磁気圏は安定しており、ダイナミックな変動は存在しない」と考えられてきたため、以上の解析結果は世界で初めてのものである。これらの観測結果から、リングカレントの発達には、過去の研究で報告されてきたような「プラズマシートからの高エネルギー粒子の流入」よりも、「その場に既に存在していた低エネルギー粒子が短周期の磁場擾乱によって受けるローカルな非断熱的加速」がより重要な役割を果たしていると結論付けた。 次に、低エネルギー酸素イオンが常に深内部磁気圏に存在しうるのかどうかについて、CRRES衛星の磁場・プラズマ波動データを用いて解析した。CRRES衛星で観測された長周期地磁気脈動の周期とプラズマ波動から推定される電子密度から、プラズマの平均イオン質量を求めることができる。4例について事例解析を行った結果、地球半径の4-5倍程度の場所に、酸素イオン高密度領域がトーラス状に存在することが明らかになった。この酸素イオントーラスは、リングカレントの生成に重要な役割を果たしていると考えている。
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Research Products
(5 results)