2011 Fiscal Year Annual Research Report
高マッハ数非定常衝撃波の観測的実証研究に向けた数値実験
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22740323
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松清 修一 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (00380709)
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Keywords | 衝撃波 / リフォーメーション / 反射プラズマ / PICシミュレーション |
Research Abstract |
1次元フルPIC(Particle-In-Cell)シミュレーションを用いて非定常衝撃波を再現し、衝撃波構造と上流におけるプラズマ分布関数の相関について議論した。入射イオンの一部が衝撃波面で反射され、それらが上流の磁場を感じてジャイロ運動することに伴って生じる周期的な衝撃波面の形成-崩壊過程であるリフォーメーションが観測された。リフォーメーションでは、磁場のオーバーシュートが卓越する位相と、それが消失して上流側にフットが発達する位相が交互に現れる。前者の位相では、'磁場の壁'によって多くの入射電子がミラー反射され、それらが磁力線に沿って上流に背走する反射電子バーストが見られた。詳細な解析により、電子の反射過程には非定常な衝撃波面における非共平面磁場が重要な役割を果たしていることが分かった。また、反射電子の中に、位相空間の局所的な高密度塊が間欠的に見られた。これらはフット領域で励起された斜めホイッスラー波に捕捉された電子が波束とともに放出されたもので、遷移層(フット)での波動励起を反映するものである。さらに、リフォーメーションに伴って形成されたイオンホールに一部の電子が捕捉され、ホールとともに下流に伝播していく過程で衝撃波の動的電場によって加速され、下流で間欠的に生成される高エネルギー成分となることが分かった。 以上は上流プラズマの温度(ベータ値)が低い場合であるが、温度を十分高くすると状況が大きく異なる。低温の場合、入射電子は狭いピッチ角範囲に集中して分布しているため、リフォーメーションでオーバーシュートが十分発達した時間帯にのみ反射が起こる。高温下では、リフォーメーションが抑えられ衝撃波はほぼ定常的に振る舞う一方で、はじめから広いピッチ角範囲に上流電子が分布しているため、発達したオーバーシュートがなくても反射が定常的に起こる。さらにこの場合、反射に伴い一部の電子が相対論的ドリフト加速を受けることを示し、それらが上流で励起する波動についても議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のテスト粒子計算の結果を踏まえて、当初の計画通り、今年度は自己無撞着な1次元フルPICシミュレーションを行った。パラメータによって結果のバリエーションが多く解析に時間をかけているが、予期しなかった結果も得られ、その部分については他天体への応用の観点からも議論できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、シミュレーションを2次元に拡張する。また、1次元シミュレーションの結果について、電子の反射過程の詳細を、より定量的に精査する。
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