2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候による化学風化作用の定量と古気候解析の新指標の提示
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22740332
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 亨 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 講師 (40409610)
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Keywords | 風化作用 / 化学組成 / 土壌 / 古土壌 / 気候判別 / 古気候 |
Research Abstract |
本年度は,化学風化指標であるW値と古気候の関連性を精査した.この作業の目的は,K値から古気候を解読できるのかを検註することにある. 本年度は,北海道の蝦夷層群,ならびに,中国のYixian層(遼寧省),Jixi層群(黒竜江省),Shengjinkou層・Lianmugin層(新疆-ウイグル自治区)から下部白亜系の泥岩サンプルを採取し,蛍光X線分析によって化学組成を測定した. 海成層である蝦夷層群については,泥岩試料のW値が白亜紀のの古温度変動パターンと一致することがわかった.今後は他地域の蝦夷層群でも古気温変化と連動したW値のパターンが得られるのかを精査する予定である. 中国の陸成層の場合でも,各地域において白亜紀の古気温変動と類似したW値の時間変化パターンが得られた.この結果の一部はJournal of Geology誌において公表した.ただし,陸成層の場合,地域間を比較すると,同時代にもかかわらず地域によって,W値の示す後背地風化度には大きな差異があることが判明した.この結果は,海域と異なり大陸では山脈や砂漠の有無などの地形要素によって後背地風化過程が大きく異なることを示唆している.逆にこの結果を利用すれば,複雑な内陸性気候帯の分布を復元できる可能性を秘めている. これに加えて,パーセント表示のデータ形式から絶対量変動の情報を復元する研究に従事した.本研究で用いる化学組成データはパーセント形式のデータであるので,各成分の相対的な変動情報しか保持していない.したがって,絶対量変動を復元することは重要であり,その復元方法を提示した.この成果はMathematical Geosciences誌において公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費申請書に記載した研究計画の内容通りに,研究が進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,北海道の他地域においてサンプリングならびに分析を行う予定である.また,中国の試料のうち,新疆-ウイグル自治区のものは分析が済んでいないので来年度は蛍光X線分析を遂行する予定である.
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Research Products
(2 results)