2012 Fiscal Year Annual Research Report
気候による化学風化作用の定量と古気候解析の新指標の提示
Project/Area Number |
22740332
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 亨 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (40409610)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 風化作用 / 古気候解析 / 風化指標 |
Research Abstract |
本年度は,モンゴルと中国(新疆-ウイグル自治区,吉林省,黒竜江省,遼寧省)において,白亜系の後背地風化度の定量分析を行った.化学風化指標であるW値はモンゴル,新疆-ウイグル自治区,遼寧省で低く,ステップ気候に発達する現世土壌と同程度の値を示した.一方で,吉林省と黒竜江省の白亜系は,高いW値を示し,温暖湿潤気候帯の現世土壌と同程度のW値を示した.特に黒竜江省は遼寧省より北に位置してるのにもかかわらず,前者の方が白亜紀においては温暖,ないしは,湿潤な気候であったことが明らかになった.今回の結果は岩相からも読み取れ,黒竜江省の白亜系には夾炭層が多く発達しており,白亜紀には森林が繁茂していたことが示唆される.高緯度に位置する黒竜江省白亜系が高い後背地風化度を示した原因は,より降雨量が多かったためであると考えられる.事実,黒竜江省は当時,前弧海盆域に位置しており,東アジア陸弧山脈より海側に分布していたため,ほかの内陸域より降雨量が高かったと推察できる.このように,古気候の解析には古緯度だけではなく,当時の地形要素も加味して議論する必要性があることが判明したが,逆に,古地形に関する議論も展開できることも判明した. また,課題点としては,W値は珪酸塩鉱物の風化作用の定量に特化した化学風化指標であるために,炭酸塩鉱物や鉄鉱物(赤鉄鉱,ゲーサイト)が付加した試料に対しては正しく後背地風化過程を見積もれない問題も露見した.カルサイト・ドロマイト・赤鉄鉱が二次的に付加した試料の後背地風化度を解析する際には,CaO, MgO, Fe2O3含有量に依存しない風化指標が必須になる.今後は,これらの元素に依存しない新たな風化指標の開発に従事する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)