2010 Fiscal Year Annual Research Report
地震断層運動にともなう水素発生と地下生命圏のリンケージ
Project/Area Number |
22740334
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 丈洋 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究員 (40470124)
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Keywords | 地震 / 断層 / 地下生命 / メタン菌 / 摩擦発熱 |
Research Abstract |
初期生命誕生の場は、水素に富む海底熱水噴出孔であったという仮説が有力である。しかし、その水素の起源については明らかとなっていない。一つの説として、『地震活動によって断層から水素が発生し、その水素をエネルギー源にして有機物をつくり出す化学合成独立栄養微生物が地下生命圏を育んでいる』というモデルが提唱されている。本研究では、この仮説を検証するため、地震断層運動を再現できる高速摩擦実験によって地震時に発生する水素量を見積り、そして海底下の微生物が地震起源の水素をエネルギー源としている可能性を定量的に探ることが本研究課題の目的である。 平成22年度は、設計・開発した高速摩擦試験機用圧力容器の中で地震性の高速すべり運動(すべり速度:1.3m/s,垂直応力:0.5~2.5MPa,すべり量:10m)を再現する実験を、様々な岩石(花崗岩・玄武岩・ダナイト・砂岩・大理石)を用いておこなった。その結果、(1)単位面積・時間当たりの摩擦仕事が大きくなるとともに水素の発生量が,水と岩石のラジカル反応によって大きくなっていくこと、(2)地震に伴ってメタン菌が活動するのに最低限必要な水素ガス(>1mmol/kg)が発生することが明らかとなった。さらに、水素の発生量と地震の規模を示すマグニチュードの相関関係を定式化して、地震発生時に発生する水素量を見積もる道筋をつけた。この成果は、現在American Geophysical Union発行のGeophysical Research Lettersに投稿中である。平成23年度は、含水条件下で同様の実験をおこなえるように試験機を改良して、水素以外の微生物の栄養源となるようなガスが地震運動に伴って発生するのかも検証していく予定である。
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Research Products
(2 results)