2010 Fiscal Year Annual Research Report
非生物反応における硫黄安定同位体分別と質量依存性の実験的・理論的研究
Project/Area Number |
22740342
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大竹 翼 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80544105)
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Keywords | 安定同位体 / 第一原理計算 / 熱水実験 |
Research Abstract |
本研究の目的 近年,堆積岩中の硫化鉱物・硫酸塩鉱物に,同位体の異常組成が見いだされてきている.しかし,非平衡時における同位体効果には不明な点が多い.本研究では,<33>^Sと<36>^Sの異常組成を持つ化合物が生物を介した反応と無機反応のいずれによって生成したか判別できるのかを検証する. 22年度の研究成果 <33>^Sと<36>^Sを含む全ての硫黄の同位体効果に関して,本研究費によって購入したコンピューターおよびソフトウェアを使用し,(1)核の大きさの違いによる同位体効果および(2)硫酸イオンの水素分子による還元反応時の同位体効果について第一原理計算を行った. まず,(1)に関しては,このような同位体効果を計算するために,さまざまな硫黄種について核上における電子密度を計算した.その結果,硫黄については核の大きさによる同位体効果は非常に小さいという事(δ^<34>S値で0.05‰以下)が明らかになった.また,本研究では,硫黄種が鉱物表面に吸着したことを想定し,鉱物表面の電荷が核の大きさによる同位体効果に与える影響も計算したが,これらの影響を考慮しても同位体効果や質量依存性には大きな影響がないことを明らかにした. 次に,(2)に関しては,古典的遷移状態理論を用いて動的同位体効果と質量依存性を計算したが,平衡時に得られる質量依存性とほとんど違いがみられなかった.これらの研究結果は,先行研究で得られた結果とは大きく異なる.その理由として,古典的遷移状態理論では考慮に入っていないトンネル効果や透過係数が,質量依存性に影響を与えているためだと考えられる.これらの研究結果については,9月に行われた地球化学会年会において招待講演を行った.
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Stability of amino acids and peptides during diagenesis on the early Earth2010
Author(s)
Otake, T., Taniguchi, T., Furukawa, Y., Nakazawa, H., Kakegawa, T.
Organizer
Goldschmidt Conference 2010
Place of Presentation
Knoxville, USA
Year and Date
2010-06-17