2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石橋 秀巳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任研究員 (70456854)
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Keywords | 結晶組織 / 噴火様式 / 粘性係数 / 富士火山 / 降伏応力 / 溶岩ドーム噴火 / Einstein-Roscoe式 / マグマ混合 |
Research Abstract |
本年度は研究期間3カ年の初年度として、主に実験解析手法の開発と、実験試料として用いる天然の溶岩の採取およびその基本的性質の決定を行った。まず、溶融試料を撹拌する回転棒の回転速度とトルクの関係から、溶融試料の粘性率だけでなく降伏応力も決定できる解析方法を考案した。そして、研究代表者が行った結晶を含むマグマの粘性率測定データにこの解析手法を適用し、マグマ中に浮遊する板状結晶の形成する組織とマクロ物性としての降伏応力との関係を検討した。この成果は、国内外の学会で発表するとともに、論文にまとめてjournal of Mineralogical and Petrological Sciences誌で公表した。次に、本研究で初生物質として適した溶岩試料を選定するために、富士山・伊豆カワゴ平火山・ハワイなどで野外調査と試料採取を行い、採取した溶岩試料の鏡下観察を行った。そして、観察結果に基づいて選定したハワイの高アルミナ玄武岩について、その結晶作用に関する基本的性質を明らかにするために、系統的な常圧溶融結晶化実験を行った。その結果、マグマのabove-liquidus温度における溶融時間が、結晶形成カイネティクスとテクスチャー(結晶の核数密度・形状・核形成潜伏期間など)に著しい影響を及ぼすことが分かった。この実験でみられた性質は、火山噴火時におけるマグマ物性(特にレオロジー)の時系列発達過程に著しい影響を及ぼすと見込まれるにもかかわらず、未だ定量的にはよく検討されていないもので、今後さらに詳しく検討する価値があるといえる。
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Research Products
(5 results)