2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱量測定実験によるシリケイトメルトの熱力学的性質の解明
Project/Area Number |
22740347
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
菅原 透 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (40420492)
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Keywords | マグマ / ガラス / 熱量測定 |
Research Abstract |
平成22年度はメルトに対して起電力測定からNa20活量を算出する方法についての検討ならびに一連の測定実験を行った.本研究では市販のアルミナタンマン管と白金ルツボを用いてメルト中の起電力を測定するためのセルを作成した.SiO2-Al2O3-Na2O系およびSiO2-Na2O系メルトにおけるNa2O活量を測定したところ,既報文献による報告値とよく一致した. 次に(100-x-y)SiO_2-xCaO-yNa_2O(x=0~22,y=12~30)組成のメルトに対するEMF測定を1273~1573Kの温度範囲で行い,SLS系メルトのNa2O活量の温度と組成依存性を明らかにした. Na_2O活量は一般にメルト中のNa_2OとCaOの減少で減少するが,Na_2Oが12mol%以下になるとCaO依存性は小さくなり,活量はほぼ一定の値を示す(1373Kにおいてloga_<Na2O>=-10.0±0.2).このことはメルトがSiO_2に富む領域において,SLS系メルトとSiO_2 -Na_2O系メルトの混合ギブスエネルギーがSiO_2量に対してほぼリニアに変化すること,およびCaOがNa_2Oよりも塩基度が小さいことに対応してSLS系メルトの方がSiO_2 -Na_2O系メルトよりも混合ギブスエネルギーがやや高いことに起因している. Na_2Oの部分モル混合ギブスエネルギー(RTlna_<Na20>)と温度の関係の傾きは,CaO=0,5mol%かつNa_2O=30mol%のときは正であるが,Na_2Oが16mol%以下にあると負となる.また,メルトが10mol%以上のCaOを含む場合は,Na_2O量に関係なくRTlna_<Na20>が温度の増加で低下する.これらの現象は,最大混合エントロピーを示す組成が,CaOの増加でよりNa_2Oに富む方向にシフトすることを反映しているものと思われる.
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Research Products
(4 results)