2011 Fiscal Year Annual Research Report
重イオンビームプローブにおける多点同時計測器の研究開発
Project/Area Number |
22740359
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮田 良明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 任期付研究員 (40510029)
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Keywords | プラズマ計測 / 重イオンビームプローブ / 多点同時計測法 / 静電揺動 / 局所電場計測 |
Research Abstract |
核融合炉実現に向けた高温プラズマ研究において、プラズマ圧力及び密度勾配により駆動されるプラズマ不安定性に起因して径方向輸送の存在が観測され、プラズマ閉じ込めとの関連が示唆されている。近年、熱輸送については、プラズマ小半径方向の電場でE×Bフローシアーが駆動されることにより、輸送が低減されることが確認されており、この物理機構解明に向けて高精度な局所電場計測の確立が重要である。ゴアプラズマ中の高精度な電位/電場計測に適した能動的粒子計測法の重イオンビームプローブを用いて、プラズマ不安定性の一種である静電揺動やMHD揺動の成長、減衰過程のメカニズムを詳細に解明するため、空間二点同時計測可能な改良型分析器の設計、開発を行った。平成22年度において、既存の重イオンビームプローブの高信頼性、高精度計測を最大限に活用しつつ、早期に空間二点同時計測を実現させるため、空間二点同時計測可能な改良型分析器を製作、設置した。設置された改良型分析器の性能評価のため、較正実験を行い、開発課題を十分に満たす性能が確認され、空間二点同時計測に成功した。平成23年度において、空間二点同時計測による電位/電場計測の精度向上に向け、検出器において検出されるビーム分布形状を計算機シミュレージョンから予測し、ビーム分布を最適な形状にフィッティングする新たなデータ処理法を考案した。これにより、電位絶対値算出に必要なビーム分布の同定精度が改善し、電位/電場の算出誤差が低減され、電位/電場計測精度が向上した。また、空間二点同時計測を用いて、コアプラズマ中の静電揺動の径方向位相差分布を評価し、揺動伝搬機構を解析した。以上の空間二点同時計測手法の精度向上により、高精度な径方向電場分布計測及び径方向位相差計測を実現し、電場形成による輸送低減の物理機構の究明に大きく貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度において、空間二点同時計測可能な改良型分析器を製作、設置し、開発課題を十分に満たす性能が確認され、空間二点同時計測に成功している。また、平成23年度において、新たな信号処理法の導入により空間二点同時計測の精度が向上し、位相差計測法を用いて揺動伝搬機構の解析を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
詳細な較正実験を基に信号解析法を改善し、局所電場計測及び位相差計測の精度を向上させる。これらにより実現された高信頼性、高精度な局所電場及び空間位相差計測を用いて径方向損失の要因となり得る静電揺動の伝搬機構及び電位/電場形成との相関を解明する。また、これまでの二点時間発展同時計測可能な改良型分析器の開発で培われたイオンビーム制御技術を基に、大規模な多点時間発展同時計測可能な新型分析器を開発する。
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