2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子サイクロトロントーラスプラズマにおける荷電分離電流の研究
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22740363
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
打田 正樹 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (90322164)
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Keywords | 単純トーラスプラズマ / 平衡 / 電子サイクロトロン加熱 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、電子サイクロトロントーラスプラズマの平衡形成の主要素である荷電分離電流の形成機構をLATE球状トカマク装置において調べ、以下のことを明らかにした。 1.トロイダル磁場中のイオン及び電子は磁場の勾配および湾曲ドリフトによりそれぞれ上方向および下方向にドリフトし、荷電分離電流を形成する。LATE真空容器上部に大半径方向に12分割された分割イオンコレクタおよび分割リミタ、真空容器下部に分割リミタを置き、流れ込むイオンおよび電子の大半径方向分布を計測した。上部イオンコレクタ表面は、上部リミタ先端よりも6.2cm上に設置した。また同時にラングミュアプローブにより主プラズマ中の電子温度、密度分布の2次元分布を計測した。その結果、下部リミタに電子、上部イオンコレクタにイオンが流れ込み、それらの大半径方向分布が一致していることを初めて明らかにした。また、その分布がプローブ計測より求めたプラズマ中の2p_e/RB_phiの分布(p_e:電子圧力、R:大半径、B_phi:トロイダル磁場強度)と一致することを明らかにし、真空容器上部・下部での流入・流出電流分布が、プラズマ中の電子の垂直方向ドリフトの分布に一致することが分かった。 2.イオンセンシティブプローブによる計測を行い、イオン温度がプラズマ中では1eV程度であることを確認した。一方で、電子温度は4eV~12eVであり、プラズマ中の垂直方向ドリフトは主に電子ドリフトによるものであることと整合することを確認した。 3.上部イオンコレクタに電圧を印加し、-40Vから40Vまで掃引して、電流電圧特性を計測した結果、浮遊電位は最大で15V程度あり、最大で15eV程度のイオンが上部に流入していることを示唆した。主プラズマ中のイオン温度が1eV程度であったことから、真空容器上部と主プラズマ間においてイオンが運動エネルギーを得る機構が存在していることが示された。プラズマ中の空間電位は真空容器上部付近に正のピーク(約40V)を持っていることから、真空容器上部との電位勾配によりイオンがエネルギーを得て真空容器上部へと流れこむとした理論予測モデルを裏付けた。さらに、コレクタ電圧がOVから-40Vの負電圧を印加した領域で、流れこむイオン電流は本質的に変化せずの定であった。これより、イオンコレクタに流れ込む電流は、プラズマ中からのイオン流入によるものであり、プラズマ中からの電子の流入および、2次電子放出による寄与はほとんどないことが分かった。
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Research Products
(3 results)