2010 Fiscal Year Annual Research Report
放電後混合型スリットノズルを組み合わせたCRDSによる新規不安定分子種の検出
Project/Area Number |
22750007
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
須磨 航介 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (10506728)
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Keywords | ラジカル / ラジカル分子錯体 / CRDS / HOOO / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
平成22年度及び平成23年度繰越を行った期間には主に、(1)HOOOラジカルの理論計算、(2)研究機関の異動に伴う分光装置の再立ち上げの二つの課題に取り組んだ。それぞれについて少し詳しく説明する。 (1)HO_3ラジカルの理論計算 HO_3ラジカルは比較的低エネルギーに複雑な電子励起状態が多数存在するため、その分子軌道計算では電子相関を適切に取り込む必要がある。そのため、これまで多くの理論計算による論文が報告されているが、その結果は大きくばらついている。最近になって実験的な研究が行われるようになり、ようやくその妥当性を確かめることが可能になった。本研究では大規模なMRCI計算を行い、実験との比較を行った。本研究による計算結果は既報のほとんどの実験結果を艮い精度で再現することができた。また、このレベルの理論計算で得られたポテンシャル曲面からは信頼性の高い振動回転定数を得られると期待できる。これを実験で得られている回転定数と組み合わせHO_3ラジカルの平衡構造を求めた。 (2)研究機関の異動に伴う分光装置の再立ち上げ 鹿児島大学への異動に伴い装置の再立ち上げを行った。装置の基本的な構成は当初の計画通り(パルス放電ノズルを組み合わせたキャビティリングダウン分光器)である。本格的な新分子の探査は行っていないが必要な装置、設備等はこの期間でほぼ揃えることがきた。キャビティを構成するミラーの反射率が分光器の感度に直接影響を及ぼすCRDSでは実験室の塵や埃がミラーの反射率を下げ、分光器の感度に大きな影響を与えている可能性が高い。特に鹿児島地方では水山灰が実験室に流入し、分光器の感度を著しく落とす。現在この対策により分光器の感度の改喜を試みている。
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