2011 Fiscal Year Annual Research Report
電気的・力学的緩和法によるポリマー電解液の輸送物性の研究
Project/Area Number |
22750012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 毅 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80345917)
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Keywords | 高分子 / 電解液 / 電気伝導度 / 粘性緩和 / 誘電緩和 / イオン液体 / レオロジー |
Research Abstract |
前年度に測定した、ポリエチレングリコールジメチルエーテルを溶媒とした過塩素酸リチウム溶液の粘性緩和スペクトルと電気伝導度分散の解析を行い、粘性を支配しているRouseモードはイオン伝導には作用していないこと、及び、イオン伝導はより局所的なセグメントモードに支配されていることを明らかにした。 過塩素酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液に、高分子であるポリメチルメタクリレートを溶解させたモデル高分子ゲル電解液の、粘性緩和スペクトルと電気伝導度分散を測定した。高分子添加に伴う粘度上昇は5囲z以下のダイナミクスが支配的であり、高分子鎖のRouseモードおよび絡み合いに帰属される。一方、ブリッジ法で測定された200Hz~5kHzの伝導度は、1MHzの伝導度と3%以内で一致した。このことから、高分子ゲル電解液の粘度を支配する高分子鎖のダイナミクスは、イオンの並進運動と、ほぼ完全にデカップルしていることが示された。一方、高分子濃度の増加に伴い、粘度と伝導度共に100MHz付近の緩和が遅くなっており、このことが高分子添加による伝導度低下の原因となっていることが考えられる。 イオン液体と高分子からなるイオンゲルの輸送物性研究の基礎として、イオン液体およびイオン液体と分子性液体混合系の粘性緩和の検討を行った。イオン液体は、同程度の粘度を持つ分子性液体と比較して、粘性緩和の緩和周波数が高く、イオン液体の高い粘性は、高周波ずり弾性率に起因することが示された。また、イオン液体-水混合系の水添加に伴う粘度低下は、構造緩和の緩和時間低下によって説明されることが明らかとなった。
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