2010 Fiscal Year Annual Research Report
超偏極129Xe-NMRを用いた細孔構造の発達メカニズムの解明
Project/Area Number |
22750014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮脇 仁 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (40505434)
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Keywords | 超偏極^<129>Xe-NMR / 細孔 / 表面 / 吸着 |
Research Abstract |
本研究は、炭素材料の細孔構造およびその発達過程を超偏極^<129>Xeをプローブとした固体NMR測定によって評価し、マイクロドメイン細孔構造モデルの妥当性を実験から検証して細孔構造の発達メカニズムを解明することを目的としている。 本年度は、まず賦活度が異なる活性炭素繊維シリーズについて、Xeガス圧力を変化させながら超偏極^<129>Xe-NMR測定を行った。その結果、細孔径が小さい試料においては2つの吸着^<129>Xe由来のNMRピークが観察されたが、賦活が進んだ細孔径が大きい試料では1つのピークが観察された。また、細孔径の大小にかかわらず、Xeガス圧の増加と共に吸着^<129>XeのNMRピークが低磁場にシフトし、そのシフトはほぼ対数関係で近似できることが分かった。吸着したXe分子同士の相互作用による低磁場シフトと解釈されるため、Xe吸着等温線との相関を検討する。 続いて、制御された表面構造を持つ炭素ナノ繊維を調製し、超偏極^<129>Xe-NMR測定を行った。その結果、炭素ナノ繊維の成長触媒が含まれる場合は、その常磁性作用が^<129>Xeの超偏極状態を急速に緩和するため、NMR信号強度が非常に弱くなるものの、吸着していないフリーのXe由来のピークより低磁場側に、ブロードな吸着ピークを与えることが分かった。また、2800℃処理によって黒鉛化度を上げ、金属触媒を除去した場合、更にブロードな吸着ピークが低磁場側に観察されており、吸着した^<129>Xeの化学シフトが炭素材料表面のラフネスに依存することが示唆された。 これらの結果は、平成23年度に実施する前駆体や賦活処理法が異なる炭素材料を用いた超偏極^<129>Xe-NMR測定の解釈のための基礎的知見となる。
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