2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィル類の微細な分子構造からみた光合成調節機構の解明
Project/Area Number |
22750017
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
溝口 正 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (90343665)
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Keywords | クロロフィル / 色素蛋白質複合体 / 光合成 / 精密構造解析 |
Research Abstract |
植物や細菌の行う光合成では、これらの生物が生存する環境下で最も効率よくエネルギー利用できるように、自発的な光合成能の最適化がなされている(光合成調節機構と定義)。特に光捕集を担うアンテナ系色素蛋白質複合体では、多彩で巧みな調節機構が具現化されている。本研究では、光合成細菌をモデル生物とした色素類(特にクロロフィル色素)の微細構造に着目し、単一細胞レベルまで解析対象の分解能をあげ、複合超分子系における超高感度色素解析に挑戦することを計画した。 1、単一細胞の単離 緑色細菌をモデル生物として、セルソータを用いることで単一細胞を単離した。 2、超高感度解析システムの構築 蛍光発光型検出器(=クロロフィル類の検出に特化したプロトタイプに改造)をHPLCに接続することで、単一細胞中の目的色素の検出に成功した。検出感度・精度の向上を指向した更なる装置の改良を実施し、クロロフィル色素に関しては、世界一の検出感度を実現した。同時に、単一細胞中の色素の絶対量を評価するため、その検量線の作成を行い、クロロフィル色素の総数を見積もることにも成功した。 3、紅色細菌の光合成調節機構 紅色細菌の一種では光合成調節機構が顕著に発現し、特異なクロロフィル類(色素蛋白質複合体への結合時にアンカーとして機能する疎水性長鎖エステルの微細構造が異なる)が過剰蓄積していた。この種の反応中心部の単離例はなかったので、硫安分画法により酸化還元活性を維持したインタクトな状態での単離を行い、得られた反応中心部のクロロフィル色素組成を詳細に解析した。色素蛋白質複合体の形成にアンカーとして機能するエステル鎖の分布は、光収穫アンテナ、反応中心部で大きく異なることが判明し、クロロフィル色素の微細構造に依存した光合成器官の構築戦略が予見された。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] The pigment stoichiometry in a chlorophyll a/c type photosynthetic antenna2012
Author(s)
Ritsuko Fujii, Mamiko Kita, Matsumi Doe, Yoshiro Iinuma, Naohiro Oka, Yuki Takaesu, Tomonori Taira, Masahiko Iha, Tadashi Mizoguchi, Richard J.Cogdell, Hideki Hashimoto
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Journal Title
Photosynth.Res.
Volume: 111
Pages: 165-172
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 13^2,17^3-Cyclopheophorbide a enol : An elusive and abundant chlorophyll a derivative in aquatic environments2011
Author(s)
Y.Kashiyama, H.Suga, A.Yokoyama, I.Inoue, H.Miyashita, K.Ishikawa, Y.Kinoshita, K.Aoki, K.Fujita, D.Fujinuma, M.Kobayashi, T.Mizoguchi, H.Tamiaki
Organizer
Seventh International Workshop on Supramolecular Nanoscience of Chemically Programmed Pigments
Place of Presentation
立命館大学(滋賀県)
Year and Date
2011-06-11
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