2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750021
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
谷口 誠治 (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 研究員 (00342725)
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Keywords | 分子分光 / 光化学 / 過渡吸収 |
Research Abstract |
光活性黄色タンパク質Photoactive Yellow Protein(PYP)は光負走光性を示す好塩菌の視覚機能を果たすと考えられており、その初期過程では発色団(p-クマル酸)のtrans-cis光異性化反応が超高速で起こる。本研究では、sub-10fsレーザーパルスを用いた過渡吸収測定を行い、PYPの光初期異性化ダイナミクスについて検討した。過渡吸収測定には光源としてチタン-サファイアレーザーを非同軸配置でパラメトリック増幅したもの(NOPA,パルス時間幅~8fs,中心波長~400nm)を励起光およびプローブ光として用いた。その結果、370-400nm付近にはPYPのS_1-S_n吸収が見られ、異性化に伴い寿命約200fsの超高速成分を含む多成分指数関数での吸光度の減衰を示した。またS_1-S_n吸収、および定常吸収のブリーチング領域において吸光度の経時変化に振動数1000cm^<-1>領域の振動成分が付随した。フーリエ解析によりそれらの振動数を求めたところ、主として3種の振動成分(1570cm^<-1>、1159cm^<-1>、537cm^<-1>)が存在する事が分かった。PYPのraman散乱測定結果との比較から、これらの振動成分はp-クマル酸の面内(in-plane)振動(υ_<13>,υ_<25>、υ_<36>,)にそれぞれ対応すると考えられるが、一方でυ_<13>modeの振動数はraman測定値に対して約10cm^<-1>小さく、光励起状態の分子振動を観測しているものと考えられる。
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