2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22750021
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
谷口 誠治 (財)レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ化学研究チーム, 研究員 (00342725)
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Keywords | 分子分光 / 光化学 |
Research Abstract |
光活性タンパク質のsub-10fsのレーザー光源を用いた高時間分解能でのポンプ-プローブ計測について、回転セルを用いた新たな測定光学系を作成して超高速光異性化反応を示す光活性タンパク質PYPの再測定を行い、振動成分の数値を含め前年度の実験結果の再現性を確認した。その結果、以前の測定では観測されなかった低振動数(<500cm^1)の振動成分を新たに観測する事ができた。また、振動モード(γ_<13>)は測定波長により位相がシフトする事が分かった。これらの振動消失時間の算出等から、発色団であるp-クマル酸のC-C二重結合部分の伸縮振動モードがPYPの超高速反応に関わっている可能性が高いことが新たに示された。また再測定の結果を元に振動成分の再解析を進め、強度は低いものの20種以上の振動を新たに同定することができたが、これらの振動モードのうち励起状態での振動であることが明らかなものは少ないことが分かった。超高速光誘起電子移動反応を示すフラビン蛋白質について、FMN結合蛋白質やピロリ菌由来のフラボドキシンを用いてフェムト秒蛍光ダイナミクスの観測を行い、発色団であるイソアロキサジンの励起状態から周囲のアミノ酸(チロシントリプトファン)間で寿命200fs以下の超高速電子移動反応が起こることを新たに見出したが、ポンプ-プローブ計測については蛋白質試料の濃度、高強度レーザーパルス照射による劣化の問題により定量的な結果を得ることができなかった。
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