2010 Fiscal Year Annual Research Report
二置換ハイブリッドカリックスアレーン類の合成法の確立と機能開発
Project/Area Number |
22750028
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
諸橋 直弥 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70344819)
|
Keywords | カリックス[4]アレーン / チアカリックス[4]アレーン / Ullmann型反応 / アミノ化 / ジアミノ化 / ヒドロキシ基 / 配位子 |
Research Abstract |
高度かつ特異な金属錯形成能を有する多座配位子の開発は,高性能触媒,高感度センサー,金属分離・回収剤などの創製に必要不可欠である。本課題では,カリックス[4]アレーン類の二つのヒドロキシ基を他の配位性官能基に直接的に変換した二置換ハイブリッド体の合成法を確立し,その特性を利用した多座配位子としての機能を開発することを目的としており,本年度は下記の成果を得た。 1.カリックス[4]アレーンの1,3-ビス(トリフルオロメタンスルホン酸エステル)に対するベンジルアミンのUllmann型反応を精査した。その結果,触媒量のヨウ化銅を用い,エチレングリコール等を添加した際,高効率的にモノアミノ化及びジアミノ化が進行することを明らかにした。これにより目的とする1,3-ジアミノカリックス[4]アレーンのカリックス[4]アレーンから総収率を78%まで向上させるに至り,実践的合成法を確立できた。また,Ullmann型反応の条件検討や副生成物の単離・同定により,モノ及び1,3-ジアミノチアカリックス[4]アレーンの合成法も改良できた。 2.チアカリックス[4]アレーン類縁体である直鎖型硫黄架橋フェノール四量体における二つのヒドロキシ基の位置選択的なトリフルオロメタンスルホン酸エステルへの誘導化法を確立した。続くパラジウム触媒を用いた官能基変換により,ジホスフィン及びジカルボン酸類の合成に成功した。また,ジカルボン酸類の結晶構造も明らかにし,二置換ハイブリッドカリックスアレーンの機能に関する予備的知見を得ることができた。
|