2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブレンステット酸触媒を用いたC‐H結合活性化による新規分子変換反応の開拓
Project/Area Number |
22750029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 鉄男 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80431493)
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Keywords | ブレンステッド酸触媒 / 不活性C(sp_3)-H結合切断 / 連続環化反応 / アルキン-カチオン環化 / エンイン化合物 / 多環性化合物 |
Research Abstract |
ブレンステッド酸触媒を用いた不活性sp^3炭素-水素結合活性化による連続的環化反応の開発。 本研究ではブレンステッド酸触媒による不活性C(sp^3)-H結合およびC(sp^2)-H結合を活性化するという新しい概念により、分子骨格を変換する新しい分野を開拓する研究を行うことを目的としている。私は既に分子内アルキンーカチオン環化反応の検討により、TfOH及びTf_2NHなどのブレンステット酸触媒はエンインのアルケン部位を選択的に活性化することで効率的なスピロ環合成に成功した。この結果に基づき、平成22年度では当初研究計画通り、新規不活性sp^3炭素一水素結合切断によりエンイン化合物の連続的環化反応の開発に成功した。様々なブレンステッド酸触媒とエンイン出発物質の検討により、TfOHあるいはTf_2NH触媒存在下、1,6-または1,7-エンインを1,2-ジクロロエタン中で反応させると種々の多環性化合物が良好な収率で得られた。本反応はソフトなブレンステッド酸触媒によってエンインのアルケン部位が選択的活性化され、アセチレン-カチオン反応が進行し、ベンジリデンカチオン中間体が形成する。その後、C(sp^3)-H結合活性化反応による環化反応が進行し多環性化合物が生成すると提唱している。本反応はブレンステッド酸触媒を用いた不活性C(sp^3)-H結合を切断する初めての報告例である。
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