2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブレンステット酸触媒を用いたC‐H結合活性化による新規分子変換反応の開拓
Project/Area Number |
22750029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 鉄男 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (80431493)
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Keywords | ブレンステット酸 / sp2 C-H結合切断 / 連続的環化反応 / 多環性化合物 / C-O結合切断 / 有機色素増感剤 / エンイン / ジイン |
Research Abstract |
本研究はブレンステット酸触媒による不活性C(sp3)-H結合およびC(sp2)-H結合を活性化するという新しい概念により、分子骨格を変換する新しい分野を開拓する研究を行うことを目的とした。 1. ブレンステット酸触媒を用いたSp^2炭素-水素結合活性化による変換反応の開発 平成22年度では当初研究計画通り、新規不活性sp^3炭素-水素結合切断によりエンイン化合物の連続的環化反応の開発に成功した。本年度では、当初の研究計画に基づき、アルキル側鎖を有するアレニル1,7-エンインを基質として種々のブレンスッテト酸触媒と反応温度及び溶媒の検討を行いsp2炭素-水素結合の切断反応の検討を行った。その結果、TfOH酸触媒の存在下室温で、様々なアレニル1,7-エンインのアセチレン-カチオン環化反応とC(sp2)-H結合切断の効率的な連続的環化反応が進行し、有機合成中重要な骨格である新規多環性生成物が高収率で得られることを見出した。 2. ブレンステット酸を用いた炭素-酸素切断反応による変換反応の開発 本研究の遂行により、私はアニソールのオルト位にアリールジインを有する化合物はTfOHなどの強酸の存在下、ジインの分子内環化とメトキシ基の炭素-酸素結合の切断による連続的環化反応が効率的に進行することを見出した。様々な官能基を有するindeno[1,2-c]chromene骨格が高収率で温和な反応条件で得られた。さらに、得られた生成物を有機色素増感型太陽電池の増感剤のドナー骨格として、二つのチオフェンをπ共役系として、cyanoacrylic acidをアクセプターとしてD-π-A型有機色素の合成に成功した。色素増感型太陽電池に用いたところ5.2%の高い光電変換効率が得られた。
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