2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子内に共役架橋構造を持った環拡張ポルフィリンの創製と機能探索
Project/Area Number |
22750031
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 優章 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90506891)
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Keywords | ポルフィリノイド / 環拡張ポルフィリン / ペンタフィリン / ヘキサフィリン / 金属錯体 / 芳香族性 / アヌレノアヌレン |
Research Abstract |
芳香族化合物のモデル研究において達成困難であった[4n]アヌレノ[4n']アヌレン骨格を構築するべく、環拡張ポルフィリンに分子内共役架橋構造を導入することを検討した。それが可能と考えられる最小分子であるヘキサフィリンは、環拡張ポルフィリンの中でも平面構造を維持可能な最長の共役系を有するが、現時点では目的の骨格は得られていない。N-フューズドペンタフィリン(NFP5)は、ピロール環の窒素がβ位に結合した[5.5.5]トリサイクリック構造を持ち、この部分の反応性が他のβ位と著しく異なると予想された。環拡張ポルフィリンのβ位修飾反応は難しく、例えば臭素化反応はヘキサフィリン金錯体を臭素中で還流するといった極めて過酷な条件が必要となる。位置選択的となるとさらに困難を極めるが、NFP5に温和な条件で単一の臭素化生成物を与える条件を見出した。X線結晶構造解析を行ったところ、開環と閉環が複雑に連続して起きた新たなπ平面を形成していることがわかり、新たな共役架橋構造を見出した。分子全体としては芳香族性を示すプロトンNMRスペクトルを与えた。この分子の酸化還元挙動やアヌレノアヌレンとしての性質は明らかになっていないが、分子内反応という新たな選択肢を示す結果である。一方で、ピロール環1個とメゾ位1個すなわち炭素6個と窒素1個のユニットをピリジン環で置き換えることによって電子的にほぼ等価であるが構造的理由により機能の全く異なるなマクロサイクルが得られることがわかったため、複数個のユニット変換を目指しそれが可能な非環状オリゴピリジン-ピロール前駆体を合成した。
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