2010 Fiscal Year Annual Research Report
効率的ワンポット連続合成反応を指向した高分子固定化金属ナノクラスター触媒の開発
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22750032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (00548943)
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Keywords | 固定化触媒 / 金属ナノクラスター / ワンポット反応 / ホウ素触素 / 酸素酸化 / 二機能性触媒 / アルコール酸化 / 高分子 |
Research Abstract |
研究代表者らは既に、ポリスチレンを基盤とする高分子や高分子と活性炭の複合担体に固定化した金ナノクラスター触媒(PI-Au、PI-CB/Au)が、アルコールの酸素酸化反応を始め種々の酸化反応に有効に機能することを見いだしている。本年度は、高分子と活性炭の複合担体に合金ナノクラスターを担持することで、より活性の高い触媒(PI/CB-Au/Pt、PI/CB-Au/Pd)を開発した。さらに興味深いことに、合金ナノクラスター中の金属の組み合わせを変えることで反応経路を制御できることを見いだした。すなわち、金-白金ナノクラスターを用いた場合一級アルコールからアルデヒドが選択的に合成できるのに対し、金-パラジウムナノクラスターを用いた場合は対応するエステルが選択的に得られた。このように、ナノクラスター中の金属の組み合わせを変えることで反応経路が制御できる例は非常に珍しく、今後詳細な検討によりそのメカニズムの解明、さらなる応用を行う予定である。 さらに、本触媒にルイス酸もしくはルイス塩基触媒機能を導入し、ワンポット酸素酸化、炭素-炭素結合形成反応に有効で、回収、再使用可能な固体触媒の開発を目指し検討を行った。その結果、金属ナノクラスターを調製する際に用いた水素化ホウ素ナトリウムが高分子中のアルコール部位とテトラアルコシキボレートを形成し高分子担体に固定化され、Michael反応を触媒することが明らかとなった。触媒調製の最適化を行ったところ、金パラジウム合金ナノクラスターとホウ素触媒を固定化したPI/CB-Pd/Au/B触媒がアリルアルコールの酸素酸化、続くMichael付加反応の二段階反応を効率的に進行させることがわかった。 本触媒は回収、再利用が可能で、室温、中性、一気圧酸素という極めて穏和な条件下、広い基質一般性を示した。さらに、反応の律速段階が一段階目であり、本触媒を用いアリルアルコールの酸化反応のみを行うと副反応が進行することから、ワンポット反応を行うことによる利点を示すことができた。
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Research Products
(25 results)