2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性π共役分子の開殻分子への変換および機能性の追究
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22750036
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
廣戸 聡 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30547427)
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Keywords | ビラジカル / 遷移金属触媒反応 / ヘキサベンゾコロネン / ポルフィリン |
Research Abstract |
機能性分子の外周部修飾によるビラジカル分子への変換方法の開発を目的とし、研究を行っている。本年度はヘキサベンゾコロネンに直接ホウ素化によって位置選択的にホウ素置換基を導入した後、酸化によってヒドロキシ基への変換に成功した。さらに酸化を行ったところ、キノン体を安定に単離することができた。得られた生成物はESR活性であり、S=1のビラジカル性を示すことを明らかにした。この結果はカルボニル修飾による閉殻分子の開殻分子への変換の可能性を見いだしたと言える。 また、インドールを環状に連結したインドール環状四量体の合成に世界で初めて成功した。この化合物の構造はX線結晶構造解析により歪んだ構造をとっていることを明らかにした。これはヨウ素と反応することにより平面化し、交互にカルボニル基とヨウ素基の入った酸化生成物が得られることが分かった。この生成物は紫色を呈し、UV吸収スペクトルが可視領域まで広がっていることを明らかにした。 さらに、トリイソプロピリルシリル基を導入したアントラセンの短軸側にホウ素置換基を導入し、酸化することでヒドロキシ基に変換した後、さらに酸化を行うことでシクロファン型の二量体が得られることを明らかにした。これは中間体としてビラジカルが発生し、ラジカル同士のカップリングによって生成したと現在のところ考えている。得られた二量体はX線結晶構造を明らかにし、立体反発により非常に歪んだ構造をとっていることが分かった。このため、シリカゲル中で徐々に原料であるヒドロキシアントラセンに戻ることも確認している。
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Research Products
(13 results)