2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素アート錯体を基軸とした新反応・新物質・新材料
Project/Area Number |
22750038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 直樹 京都大学, 工学研究科, 助教 (70512755)
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Keywords | ホウ素 / アート錯体 / パラジウム / アリル化 / XANTPHOS / アルケニルボラン / アルケニルボロン酸 |
Research Abstract |
有機ホウ素化合物は合成試薬として極めて重要であるのみならず、近年では医薬品や発光材料等、機能性材料としても注目されている。このため、従ってホウ素化合物を効率よく合成する手法の開発は近年の課題の一つである。アルキニル(トリアルキル)ボラートはアルキルハライドとアルキンβ位で反応し、ホウ素上のアルキル基が1,2-転位することで三置換アルケニルボランを与える。このような反応は多置換アルケニルホウ素化合物の合成法として有用であるが、ホウ素上にアリール基を有するアルキニル(トリアリール)ボラートは反応性が低く、無触媒では全く反応が進行しなかった。本研究ではパラジウム触媒を用いることでアルキニル(トリアリール)ボラートのアリル化反応が進行することを見いだした。トリフェニルボスフィンなどの単座配位子やDPPEなどの二座配位子では反応が進行しなかったのに対し、配位狭角の大きな二座ホスフィンであるXANTPHOSを配位子として用いることで、アリル基を有する三置換アルケニルボランが高収率で得られた。ホウ素上がフェニル基の場合、その反応のE,Z選択性は低いものであったが、フェニル基に代え、嵩高い2,6-ジメトキシフェニル基を導入するとE体選択的にアルケニルボランが得られた。また、得られたアルケニルボランのホウ素上の2,6-ジメトキシフェニル基は酸性条件下、アルケニル基に優先して加水分解し、その立体を保持したまま三置換アルケニルボロン酸を得ることができた。
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Research Products
(3 results)