2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素アート錯体を基軸とした新反応・新物質・新材料
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22750038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 直樹 京都大学, 工学研究科, 助教 (70512755)
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Keywords | ホウ素 / アート錯体 / パラジウム / インデン / ボラート |
Research Abstract |
インデン骨格は天然物や医薬品、有機電子材料に見られる重要な骨格である。遷移金属触媒を用いたo-ハロベンゾイル化合物やo一ボリルベンゾイル化合物とアルキンを用いた環化付加反応はこの骨格の有用な合成法の一つであるが、立体的・電子的に類似した置換基を有するアルキンを位置選択的に導入することは困難であった。の方、我々はパラジウム触媒によるアルキニルボラートとハロゲン化アリールの反応を既に開発していた。この知見を受け、今年度はo-ハロベンゾイル化合物とアルキニルボラートとの反応で様々な置換基を有するインデンを位置選択的に合成する手法を開発した。5mol%のPd(π-allyl) Cl (xantphos)存在下、2-ヨードアセトフェノンに(4-メトキシフェニルエチニル)(フェニル)-9.BBNを作用させたところ、3.(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-フェニルインデン-1-オールが91%の収率で得られた。一方、ボラートとして構造異性体である(4-メトキシフェニル)(フェニルエチニル)-9-BBNを作用させたところ、2-(4-メトキシフェニル)-1一メチル-3-フェニルインデン-1-オールが91%の収率で得られ、用いるボラートによって位置異性体を完全に作り分けることができた。本反応では、まずパラジウム触媒によるアルキニルボラートとオルト位にカルボニル基を有するハロゲン化アリールとの反応によってホウ素のシス位にオルトーカルボニルアリール基を有するアルケニル-9-BBNが位置および立体選択的に生成する。さらにアルケニルボラン部位がカルボニル基に付加することで5-exo-trig環化し、インデノールが生成したものと考えられる。本反応は2,3-ジアリール置換体のみならず、2,3-ジアルキル置換体合成へも適用でき、様々なインデン誘導体の選択的合成法として有用である。
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Research Products
(2 results)