2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 理尚 京都大学, 化学研究所, 助教 (30447932)
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Keywords | フラーレン / PCBM / 有機薄膜太陽電池 / バルクヘテロ接合 / 電子受容材料 / モルフォロジー / ダンベル型フラーレン / 光電変換 |
Research Abstract |
有機薄膜太陽電池は低コスト、フレキシブル、軽量などの利点をもち、国内外で活発な研究が行われている。光電変換素子の活性層には、塗布法により形成された電子供与材料と電子受容材料の混合膜が用いられる。光電変換効率の向上には、この活性層のモルフォロジー制御を指向した材料開発が重要である。本研究では、電子受容材料の分子構造がモルフォロジーに及ぼす効果を調べることを目的に、二つのC60骨格が連結されたダンベル型C60誘導体を設計・合成し、これを用いた有機太陽電池の特性を検討した。 まず、メタノフラーレン骨格がベンゼン環を介して連結されたダンベル型C60誘導体(以下、DB-C60と略記)をPCBMと類似の手法により合成した。次に、得られたDB.C60とポリ-3-ヘキシルチオフェン(P3HT)の混合薄膜を作製し、UV-visスペクトルを比較した結果、P3HT由来の吸収は、DB-C60とP3HT混合膜(λmax=492nm)の方がPCBM:P3HT混合膜(λmax=504nm)より短波長側に観測された。これはDB-C60とP3HTが薄膜中でより均一に混合することで、P3HTのπ-スタックを阻害していることを示す結果である。一方、混合膜に熱処理(150℃,3min)を施すと、P3HT由来の吸収は長波長側にシフトした。これはP3HTのπ-スタック構造の形成が熱処理により促進され、有効共役長が伸びたためと考えられる。DB-C60を電子受容材料に、P3HTを電子供与材料に用いたバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の特性を評価したところ、熱処理前は光電変換特性をほぼ示さなかったのに対して(η=0.29%、熱処理により、特に短絡電流密度(Jsc)とフィルファクター(FF)が大幅に向上し、良好な特性(η=2.55%)を示すことがわかった。
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