2011 Fiscal Year Annual Research Report
水素転位を介するsp3CーH結合活性化を利用した多環骨格構築法の開発
Project/Area Number |
22750044
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
森 啓二 学習院大学, 理学部, 助教 (10515076)
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Keywords | 水素転位 / C-H結合官能基化 / 多環骨格 |
Research Abstract |
【目的】 C-H結合活性化を利用する反応は、原子効率の高い、極めて有用な合成手法である。これまでに様々な研究が行われ、触媒的な手法を達成するまでに至っている。しかし、その多くはC(sp2)-H結合に関するものであり、C(sp3)-H結合の効率的な活性化は、有機合成化学の洗練された現在においても困難であり、新たな方法論の開拓が求められている。このような背景のもと、本研究では、効率の高いC(sp3)-H結合活性化反応の開発を目的とする。研究遂行にあたり、申請者は、自身が近年見出した水素転位を鍵とするC-H結合活性化法に注目した。本手法は、遷移金属や酸化剤を必要としない簡素な反応条件で達成できる有用な手法である。この形式の反応は窒素原子をもつ基質での報告例があるものの、対応する酸素や炭素誘導体に関する知見はほとんどない。本研究では、本反応の適用限界を探索し、その合成的な有用性を示すとともに、さらに発展させた手法の開発を目指した。 【結果】 これまでは転位水素の隣接位にヘテロ原子(窒素および酸素原子)を有することが本反応の必須要件であったが、求電子部位として極めて活性の高いバルビツール酸を選択することで、ヘテロ原子を持たない基質においても同形式の反応が進行することを見出した。さらに検討を進めた結果、比較的反応が進行しやすいと考えられるベンジル位だけでなく、単純な脂肪族部位からでも望みの反応が進行することを明らかにした。また、反応性の高い窒素原子を有する基質を用いるものの、近年大きな注目を集めている有機分子触媒を用いることで、同形式の反応の不斉化をも達成することができた。有機分子触媒的なC-H結合官能基化の報告例は極めて少なく、本研究で得られた成果は有機合成化学分野における新たなC-H結合官能基化法の指針となりうる、意義深いものであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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