2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素置換π共役化合物の創成と還元によるキノイド構造発現および共役構造制御
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22750046
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄子 良晃 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40525573)
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Keywords | ホウ素 / パイ共役 / 含ホウ素パイ共役系 / キノイド / 酸化還元 / 電子移動 |
Research Abstract |
2011年度は、研究計画において目的に掲げた「還元反応に適用するホウ素化合物のライブラリ構築」を行うべく、種々のホウ素置換π共役化合物を合成した。その過程で、ホウ素二置換ベンゼン誘導体の合成検討を行った際、1,2-ビスボリルベンゼン誘導体の水素化物において特異な転移・縮環反応が進行し、定量的に9,10-ジボラアントラセン誘導体が得られることを見いだした。本反応は極めて温和な条件下で定量的に進行するため、種々の官能基・機能団を有する含ホウ素パイ共役骨格の構築が可能になる。またこの反応を利用することで、含ホウ素パイ共役二次元シート状分子や三次元格子状構造体など、既存の合成法では構築が困難な巨大構造体へのアプローチが可能になると期待される。現在このような観点から、本反応のスコープについて検証を行っている。 また、新たな検討として、「ホウ素置換基を空間特異的に配置した、新しい電子移動システムの構築」について検討を行った。モデル化合物としてホウ素六置換ベンゼン誘導体を合成し、ディスクリートな分子による環状電子移動系の構築について検証した。この化合物は種々の還元剤により還元反応を行うことが可能であった。現在、還元体の詳細な分子構造について、X線結晶構造解析による検討を行っている。この検討に関連して、ある種のホウ素二置換ベンゼン誘導体の単結晶構造を確認したところ、分子間で、ホウ素-ホウ素が近接したパッキング構造をとることを見いだした。最終年度である次年度は、これらの化合物を土台とする、ホウ素を電荷移動の鍵元素とする新規な電荷輸送層の開発についても検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、理化学研究所から東京工業大学に異動し、新しい研究室のセットアップに携わったため、研究期間として大幅な遅れを生じた。研究計画自体はほぼ目的どおり進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度掲げた研究目標は達成されつつある状況であり、最終年度である次年度は、現在進行している検討を引き続き行い、既に蓄積された知見と併せて、研究のとりまとめを行う。
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