2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子プールを組み込んだ人工Zスキーム型光触媒の創製とその高効率化
Project/Area Number |
22750048
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40452015)
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Keywords | 光触媒 / レニウム錯体 / 電子プール / 人工Zスキーム / 二酸化炭素還元 |
Research Abstract |
CO_2からCOへの2電子還元光触媒反応の高効率化を目指して、光増感部としてルテニウム(II)トリスビピリジン錯体、触媒部としてトリアリールホスフィン配位子を2個有するレニウム(I)ジイミンビスカルボニル錯体を用い、これらを電子蓄積部および架橋部としてビオローゲンを配して、アルキル鎖で連結した新しい複核錯体を設計し、合成に成功した。このレニウム(I)錯体部について、二酸化炭素還元光触媒反応中における構造変化を各種分析手法によって追跡した。In-situ赤外分光法や核磁気共鳴分光法から、光触媒反応の進行に伴って、レニウム上のホスフィン配位子が脱離し、さらにビスカルボニル錯体からトリカルボニル錯体に変換されることがわかった。また、犠牲還元剤として添加したトリエタノールアミンに由来する酸化生成物が、原料であるレニウム(I)錯体に付加することが質量分析法によって判明した。さらに、同位体標識実験等から、トリエタノールアミンがCO_2に付加することで炭酸エステルを生成し、系中で生成するレニウム(I)トリカルボニル錯体に配位子として取り込まれ、それが光触媒としても機能することも明らかになった。このことは、トリエタノールアミンが明反応・暗反応のいずれにおいても、二酸化炭素還元光触媒反応にとって重要な反応中間体・生成物を与えることを強く示唆している。最終的に、ビスカルボニル錯体から生成したトリカルボニル錯体のジイミン配位子に、水素2個が付加することで芳香族配位子が還元され、可視光領域の吸収帯が大幅に減少し、COの生成が抑えられることがわかった。今回明らかにしたレニウム錯体部の失活・分解プロセスは、さらに高効率な光触媒反応を実現する上で重要な設計指針を与えると期待される。
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Research Products
(8 results)