2010 Fiscal Year Annual Research Report
アリールオキシド配位子を持つ鉄錯体による小分子活性化
Project/Area Number |
22750049
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石田 豊 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00465931)
|
Keywords | 鉄錯体 / 小分子活性化 / アリールオキシド |
Research Abstract |
本研究の目的は、反応の鍵中間体として重要な化学種である金属-元素多重結合種のうち、特に鉄-窒素多重結合種に注目し、これらを合成し、構造、電子状態、反応性を明らかにする事である。これまで、単核の鉄-窒素二重結合種、鉄イミド(Fe=NR)及び三重結合種鉄ニトリド(Fe≡N)錯体の報告例があるが、カルベン、ホスフィンといったいわゆるソフトな配位子を有している例が多い。特に高原子価鉄ニトリド錯体の例は数例であり、ハードな配位子を用いた例はない。まず、ハードな配位子して複数のアリールオキシド配位子の合成を行った。嵩高い置換基をオルト位に持つ単座アリールオキシド配位子、メチレン、メチン、ベンゼン環を架橋部分に持つ単座、二座及び三座配位子を合成した。単座配位子としてオルト位にアダマンチル基を持つアリールオキシド配位子を用いて、鉄アミド錯体Fe[N(SiMe_3)_2]_2と反応させると反応は速やかに進行し、二配位単核鉄錯体Fe(OAr)_2が、空気、湿気に不安定な化学種として得られた。アリールオキシド配位子のパラ位の置換基をメチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基と変えることで、溶解性及び結晶性に違いが見られたが、全て二配位の単核鉄錯体として得られた。これらの二価鉄錯体のX線構造解析の結果、二つの置換基の酸素原子と中心金属の鉄原子とのなす角(O-Fe-O)はほぼ直線となっている事が分かった。この特異な構造はアリールオキシド基のパラ位の置換基の違いでは変わらない。構造について理論計算を用いてその電子構造について考察を深めた。
|