2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 直顕 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (70346047)
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Keywords | オゾン / Fe^<4+> / メスバウア分光 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
Fe^<4+>のような異常高原子価遷移金属イオンを含むペロブスカイトを合成するにあたって、一旦高温下で安定な構造をとるFe^<3+>からなる酸素欠損ペロブスカイトを合成し、その後低温でオゾンにより強力酸化することで、酸素を結晶中に詰め込む二段階の合成手法を確立した。新しく合成された酸素欠損のない立方晶型BaFeO_3は、100方向に波数ベクトルを持つスクリュー型磁気構造をとるが、5Kにおいて~0.3T以上の外部磁場の印加により鉄1原子あたり3.5μBの飽和磁場を持つ強磁性的スピン構造へ転移する。同様の合成手法によりバリウムの一部をストロンチウムで置換した固溶体であるBa_<1-x>Sr_xFeO_3(0≦x≦1)を合成することに成功した。立方晶構造を保ちつつ、その置換量に従って格子定数が直線的に減少するとともに、スピン構造の転移に要する磁場も連続的に大きくなり、x=1つまりSrFeO_3では、約40Tの印加によりようやく強磁性状態へ変化した。また、それらの磁化曲線の挙動の変化から、BaFeO_3型から111方向へ波数ベクトルを持つスクリュー型磁気構造のSrFeO_3型へ、x=0.3付近で基底状態のスピン構造が変化することが示唆された。一方、鉄の一部をコバルトで置換したBaFe_<1-x>Co_xO_3(0≦x≦1)固溶体の合成にも成功した。x=0.02程度のわずかな置換で基底状態が完全な強磁性的磁気構造へ変化することが分かった。
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