2010 Fiscal Year Annual Research Report
共役した水溶性フタロシアニン二量体の合成と光線力学的治療法への応用
Project/Area Number |
22750052
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
池上 崇久 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (00379033)
|
Keywords | フタロシアニン / 光触媒能 / 二光子吸収材料 / 水溶性 / 二核錯体 / パラジウム |
Research Abstract |
共役した二核フタロシアニン錯体の合成を試み、それらの錯体の合成に成功した。それらの錯体には、800~900nmに非常に大きなQ-bandのような吸収帯を持っているため、フタロシアニン同士が共役していることが確認されたことから、目的とする近赤外領域を用いた光線力学治療(PDT)にとって非常に適切な錯体の合成が行えたことを確認した。また、亜鉛(II)二核錯体、パラジウム(II)二核錯体を用いて、DPBFという基質を用いて光触媒能を有するかどうか、検討を行った。その結果から、活性酸素の補足剤であるDPBFの非常にスムーズな分解が進行したことから、これらの二核錯体は、780nmよりも長波長側の近赤外領域の光を用いても光触媒としての能力を有することが確認できた。このように、近赤外領域のみでの光触媒能を示す金属錯体は、非常に珍しいため、今後の実用化に期待できることが確認された。現在、これらの錯体を用いた光線力学的治療の実用化に向けて、錯体を水溶性にしなければならないことから、8個~16個のカルボキシル基を導入したフタロシアニンの合成を試みたところ、単量体のフタロシアニン金属錯体については合成することができて、メタノールなどの極性溶媒に可溶なことが、NMRやUV-visスペクトル測定から明らかになった。さらに、これらの錯体は、弱アルカリ条件で水に可溶であり、フタロシアニン環同士の会合が無いことが、UV-visスペクトルやNMRスペクトルの結果から確認された。現在では、水溶性の二核フタロシアニン金属錯体の合成を試みている。
|