2011 Fiscal Year Annual Research Report
多重機能を備えた第二世代型光水素発生デバイスの創製
Project/Area Number |
22750057
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小澤 弘宜 東京理科大学, 工業化学科, 助教 (30572804)
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Keywords | ルテニウム / 太陽光 / 光エネルギー変換 |
Research Abstract |
本研究では、水からの光化学的水素ガス生成機能を有する単一分子光水素発生デバイスの開発とその機能評価、及び触媒反応機構の解明を目的としている。昨年度までに得られた成果として、次のことが明らかとなった。(1)光水素発生デバイスによる水素生成反応は、一光子過程で進行する。(2)水素生成速度は、犠牲還元試薬(EDTA)の濃度に比例する。(3)水素生成反応は、光水素発生デバイスの二量体形成を経由して進行する。以上の成果と、それに付随する成果をChemical Communication誌に総説(Feature Article)として発表した。 一方、水素ガス生成反応の太陽光による駆動を目的とし、太陽光エネルギーの有効利用を可能にする光増感分子の合成と、これを用いたTiO_2光電極の作製を行った。特に、異なる波長領域に強い吸収帯を持つ二種類の光増感分子を用いたTiO_2光電極を作製することにより、従来の一分子での光吸収特性を大幅に向上させることができた。一般に、複数種類の光増感分子を用いるとエネルギー移動や電子移動による励起状態の消光が促進されてしまうため、光吸収特性は向上しない場合が多いが、本研究では光吸収特性を巧く向上させることのできる光増感分子の組み合わせ、TiO_2光電極への吸着条件を見いだすことに成功した。また、光増感分子のTiO_2光電極への吸着力の向上を目的とし、オルトジカルボキシフェニル基をアンカー基とする新規光増感分子の合成を行い、その光吸収特性、および吸着特性の検討を行った。この新規光増感分子は、従来型の光増感分子に比べてTiO_2光電極への吸着力が高いだけでなく、飽和吸着量も大きいことが分かり、オルトジカルボキシフェニル基が優れたアンカー基であることが明らかとなった。これらの成果は、太陽光エネルギーの有効利用を目指した高性能TiO_2光電極の作製において、極めて有用な知見であると考えられる。
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Research Products
(10 results)