2010 Fiscal Year Annual Research Report
三方平面型カーバイド錯体の反応性および電子状態の解明
Project/Area Number |
22750058
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
竹本 真 大阪府立大学, 理学系研究科, 講師 (20347511)
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Keywords | カーバイド / 三方平面構造 / 遷移金属錯体 / フィッシャー・トロプシュ / カーバイド錯体 / イミド錯体 / カルベン錯体 |
Research Abstract |
研究代表者らは最近、三方平面型カーバイド配位子を有する初めての遷移金属を合成した。本錯体は、高い反応性が期待される低配位数のカーバイド配位子とともに、隣接する金属上にアルキルおよびヒドリド配位子を有している。そこで、本研究ではこの新規なカーバイド錯体をフィッシャー・トロプシュ反応(FT反応)における表面カーバイド中間体の有機金属モデルと考え、この錯体におけるカーバイド配位子の分子内炭素-炭素および炭素-水素結合形成反応の解明に取り組んだ。このような研究は、未だ解明されていないFT反応における炭素鎖成長反応の機構の理解につながるものと期待される。2010年度には、カーバイド配位子と隣接するメチル配位子およびヒドリド配位子との結合形成反応によって、メチリジン、エチリデン、エチリジン、およびビニリデンという種々の炭化水素基が生成することを明らかにした。NMRスペクトルおよびX線構造解析により生成物の構造の詳細を明らかにした。これらの結果は、固体金属触媒の表面で進行するFT反応の機構が、有機金属錯体化学における挿入や脱離といった基礎的な素反応に基づいて理解され得るものであることを示唆している。特に、今回見出したカーバイド配位子とメチル配位子との分子内炭素-炭素結合形成反応は、金属-メチル結合への不飽和炭素種の挿入反応と位置づけることが可能であり、FT反応に置ける炭素鎖成長過程にも同様な機構が含まれている可能性が考えられる。これらに加え、錯体の配位子置換反応についても検討を行い、カーバイド配位子のシス位に複数のアルキル基を導入した新規なカーバイド錯体の合成にも成功した。
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Research Products
(4 results)