2011 Fiscal Year Annual Research Report
三方平面型カーバイド錯体の反応性および電子状態の解明
Project/Area Number |
22750058
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
竹本 真 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (20347511)
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Keywords | カーバイド / 三方平面構造 / 遷移金属錯体 / フィッシャー・トロプシュ / カーバイド錯体 / イミド錯体 / カルベン錯体 |
Research Abstract |
遷移金属カーバイド錯体は、一酸化炭素の水素化反応(フィッシャー・トロプシュ反応)における表面カーバイドのモデルとして広く研究がなされてきたが、炭素原子上での高い反応性が期待される低配位数のカーバイド配位子を有する錯体の例は少ない。研究代表者らは、三方平面構造のカーバイド配位子を有する遷移金属錯体の合成に初めて成功し、その反応性および電子状態の解明に向けたに研究に取り組んでいる。前年度までにRu_2Pt異種三核カーバイド錯体上でのカーバイド配位子とヒドリドおよびアルキル配位子とのC-HおよびC-C結合形成反応を明らかにした。本年度は、様々な遷移金属を有する三方平面型カーバイド錯体の反応性の解明を目的として,二核ルテニウムメチリジン錯体を前駆体とする新規な三方平面型カーバイド錯体の合成に取り組み、以下の成果を挙げた。 二核ルテニウムメチリジン錯体に対して、白金(O)、パラジウム(O)、銅(I)、銀(I)、および金(I)錯体を作用させることにより、一連の異種三核メチリジン錯体の合成に成功した。金を導入した錯体を塩基で処理すると、メチリジン配位子が脱プロトン化され、新規なRu_2Au異種三核カーバイド錯体が生成することを見出した。さらに、二核ルテニウムメチリジン錯体を先に塩基で処理した後に、金(I)錯体と反応させても同じカーバイド錯体が生成することが分かった。二核ルテニウムメチリジン錯体と塩基との反応で生成する中間体の捕捉実験を行なった結果、二核ルテニウムメチリジン錯体が二核ルテニウムカーバイド錯体の合成等価体として働くことが分かった。以上のほか、Ru_2Ptカーバイド錯体の新たな反応性として、酸化剤の作用により錯体上でのカーバイド配位子とアルキル配位子との炭素-炭素結合形成反応が引き起こされることも見出した。
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Research Products
(3 results)